インド中銀次期総裁にマルホトラ財務次官 ダス氏続投予想の市場で驚き

インドの国旗を撮影した画像

インド政府は9日、準備銀行(RBI、中央銀行)の次期総裁にサンジャイ・マルホトラ財務次官(歳入担当)を指名した。

10日に任期満了を迎えるダス総裁の後任として3年間、金融政策のかじ取りを行う。

市場ではダス氏が2回目の任期延長によって続投すると予想されていただけに、今回の人事に驚きと政策運営を巡る先行き不透明感が広がっている。

RBI首脳部ではパトラ副総裁も来年1月半ばで任期が終わり、政府は後任を探しているところだ。

エムカイ・グローバルのチーフエコノミスト、マドハビ・アロラ氏は「来年2月の次回会合を前に総裁が交代し、そして金融政策担当副総裁も交代しそうな状況は、市場に相当な不確実性をもたらすことを意味する」と指摘した。

折しもインドは7─9月の成長率が7期ぶりの低い伸びにとどまったほか、物価上昇率は過去1年で初めてRBIの目標圏の上限を超える事態となっており、これからの金融政策は難しい対応を迫られる。

2018年に就任したダス氏はRBI総裁としてインド独立以来在職期間が最長で、前任者の辞任原因となった政府との対立の解消に全力を注ぎ、金融セクターの立て直しを監督。最近では金融機関の過剰なリスクテークを防止する取り組みも主導してきた。

マルホトラ氏は経済成長や物価動向について自身の見解は明らかにしていないが、合意形成を促す人物として知られている。

ともに働いた経験を持つ複数の政府高官は、マルホトラ氏は成長重視で、インフレ抑制のためには政府の政策と金融政策が共同歩調を取る必要があると考えている、との見方を示した。

キャピタル・エコノミクスのエコノミストチームは、RBIはダス総裁が続投していれば25ベーシスポイント(bp)の利下げが決まるのは来年4月だっただろうが、マルホトラ氏が総裁ならその時期は2月会合になると予想した。

参照元:REUTERS(ロイター)