トランプ氏「関税脅迫ディール」を自賛 メキシコとは認識食い違い
トランプ次期米大統領が、関税引き上げを乱用した2国間取引(ディール)を早速自賛した。
「メキシコが事実上の国境封鎖に同意した」と自らの手柄を誇るトランプ氏が、関税を脅し文句に使った外交を今後ヒートアップさせかねない。
ただ、メキシコ側は国境封鎖に同意していないと反論しており、ディールの「成果」は紆余(うよ)曲折をたどる可能性がある。
発端は、トランプ氏が25日に行ったソーシャルメディアへの投稿。
米国で社会問題化している不法移民の米国への流入を止めなければ、メキシコからの輸入品に対し一律25%の関税を課すと宣言した。
トランプ氏は、大統領選で不法移民の取り締まりを抜本的に強化すると訴えており、有権者に強硬姿勢を示す必要があったとみられる。
突然の「脅し」に対し、メキシコのシェインバウム大統領は26日、両国の経済や雇用に大きな損失を与えるなどと批判。
実際に発動されれば報復関税も辞さない構えを示した。
だが、メキシコ経済は米国への自動車関連輸出などで支えられているのが実情。
世界1位の経済大国である米国と正面から対立すれば、深刻な打撃を受ける恐れがある。
関税引き上げを回避したいシェインバウム氏は27日、トランプ氏と電話協議を実施した。
不法移民対策に加え米国で利用者が増えている合成麻薬「フェンタニル」の流通防止策についても話し合い、トランプ氏の思惑通りの展開となった。
シェインバウム氏も、SNS(ネット交流サービス)に「トランプ氏と素晴らしい会話をした。移民に関する戦略について話し合い、彼らはメキシコ国内で対処されるため(米国との)国境には到達していないことを共有した」と投稿。
「麻薬の利用防止のため実施している取り組みの協力強化についても話し合った」とした。
2国間の直接ディールを好むトランプ氏は、前政権時代同様、関税引き上げを脅し材料にさまざまな外交成果を上げようとしている。
来年1月の政権発足前の時点で早々に「成果」をアピールした形で、この戦略への自信をさらに深めた模様だ。
ところが、シェインバウム氏は電話協議の成果を自画自賛するトランプ氏のソーシャルメディアへの投稿を受け、X(ツイッター)に改めて自らの考えを投稿。
「メキシコの立場は、国境を封鎖することではなく、政府間、国民間の懸け橋を築くことであると改めて強調する」として、「事実上、国境封鎖を認めた」とするトランプ氏の認識を否定した。
トランプ氏は、まだメキシコへの25%関税を撤回するかどうかは明言していない。
電話協議でいったんは対立が落ち着いたように見えたが、シェインバウム氏の反論を受け、トランプ氏の「脅し」が再燃する可能性もある。
参照元∶Yahoo!ニュース