モルドバ大統領選、現職が僅差で再選 「親欧米路線に支持」

モルドバの国旗を撮影した画像

旧ソ連のモルドバで3日に行われた大統領選の決選投票は、親欧米の現職サンドゥ大統領が親ロシア派政党の支持を受けたストヤノグロ元検事総長との接戦を僅差で制し、再選を果たした。

選挙管理委員会によると、サンドゥ氏の得票率は55.33%。

在外投票での強い支持が勝利に寄与した。

国内得票では僅差でストヤノグロ氏を下回った。

サンドゥ氏は勝利宣言し、「全ての人のための大統領になる」と述べた。

サンドゥ氏の支持者らは今回の勝利について、欧州連合(EU)加盟に向けた動きを加速させるなど同氏が進めてきた親欧米路線が支持されたとみている。

ただ、ストヤノグロ氏の善戦はサンドゥ氏の与党が来年夏の議会選で厳しい戦いを強いられることを示唆している。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、サンドゥ氏に祝意を伝えると同時に、EU加盟という共通の目標に向けて協力していく意向を改めて表明。

サンドゥ氏との電話会談後「欧州志向で連帯を表明した」とし、EU加盟に向けた次の措置についてサンドゥ氏と協議したとXに投稿した。

米国のバイデン大統領もサンドゥ大統領に祝意を表明。

「ロシアは数カ月にわたりモルドバの民主的制度と選挙プロセスを損なおうと試みたが、失敗に終わった」と述べた。

今回の選挙では、大規模な有権者買収や選挙妨害などロシアによる選挙介入疑惑も浮上した。

ロシアはこれを否定しているが、モルドバ情勢に関する分析・研究を行うキシナウ拠点のNGO「ウォッチドッグ」のヴァレリウ・パシャ代表は、今回の選挙はモルドバが依然として外部からの干渉に対して「非常に脆弱」であることを示したと述べた。

1991年のソ連崩壊以降、親ロシアと親欧米の間で揺れてきたモルドバの将来は、2022年に隣国ウクライナにロシアが軍事侵攻して以降、注目が集まっている。

また、EU加盟を目指す別の旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)で先月、親ロシアの与党が勝利したこともあり、欧州ではモルドバの選挙に注目が集まっていた。

サンドゥ氏の勝利にEUはひとまず安堵(あんど)した形となった。

参照元∶REUTERS(ロイター)