米10月雇用1.2万人増、予想大きく下回る ストや自然災害響く

アメリカの国旗を撮影した画像

米労働省が1日発表した10月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比1万2000人増だった。

市場予想の11万3000人増を大幅に下回り、2020年12月以来の最小の伸びとなった。

米航空機大手ボーイングのストライキや大型ハリケーンの被害といった一時的な影響が響いた。

エコノミスト予想レンジは0から20万人増だった。

9月は22万3000人増に下方修正され、8、9月分の増加数は合計11万2000人下方改定された。

失業率は4.1%で前月と変わらず。

10月の時間当たり平均賃金は前月比0.4%上昇、9月は0.3%上昇だった。

前年比は4.0%上昇、前月は3.9%上昇だった。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「来週の米大統領選を控え、有権者の生活が4年前よりも良くなっているかどうかを把握するために米国民や市場が必要としていた経済に関する明確な報告書とはならなかった」と指摘。

ただ、「雇用者数の伸びの劇的な減速は、経済が転換点に達し、崖から落ちて不況に陥る危険があることは示していない」と述べた。

雇用者数を算出する事業所調査では、毎月12日を含む調査期間中に給与を受け取らなかった労働者は失業者とカウントする。

一方、家計調査ではスト参加の労働者は雇用者としてカウントされるため、失業率は歪みの影響を受けなかった。

労働統計局によると、悪天候のために働けなかった労働者は休業者と分類される。

9月下旬にはハリケーン「へリーン」、その1週間後に「ミルトン」が米南部州を襲った。

悪天候のため働けないという回答は計51万2000人と、1月以来最多となった。

サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「ハリケーンによる10月の雇用への影響は、多くのエコノミストの予想よりもはるかに大きかった」と指摘。

ただ、影響を受けた部分の多くは11月には元に戻るとの見方を示した。

労働統計局も、一部の産業でデータの集計がハリケーンの影響を受けた可能性があるとの見解を示した。

ただ、影響を数量化することはできないとしている。

業種別では、10月の雇用増加分のほぼ大半は医療関連と政府部門に限られた。

ヘルスケア関連は5万2000人増、政府は4万人増だった。

ボーイングのストの影響で、製造業は4万6000人減少。

米自動車大手「ビッグ3」の一角のクライスラーを傘下に持つステランティスのレイオフに関連して、自動車産業で6000人減少したことも響いた。

専門・ビジネスサービスは4万7000人減。

人材派遣は4万9000人減少した。

レジャー・接客は4000人、小売業で6400人、それぞれ減少した。

就労意欲はあるが求職をあきらめた人や、フルタイムの仕事が見つからずパートタイムで働く人を含む広義の失業率は7.7%と、横ばい。

経済の雇用創出能力を示す指標とされる就業率は60.0%と、前月の60.2%から低下した。

バイデン米大統領は、11月には雇用の伸びは回復するという見通しを示し、「米経済は引き続き好調だ。しかし、やるべきことはまだある」と述べた。

ファースト・アメリカンのシニアエコノミスト、サム・ウィリアムソン氏は「労働市場は引き続き緩やかに冷え込んでおり、連邦準備理事会(FRB)が今月と来月の会合で一段の利下げを行う根拠になる」と指摘。

エコノミストの間では、FRBが11月6─7日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、ノイズの多いデータをさほど重要視せず、0.25%ポイントの利下げに踏み切ると予想されている。

参照元∶REUTERS(ロイター)