不祥事相次ぐ鹿児島県警、野川本部長が転出へ 「なぜ今なのか」 隠蔽疑惑、異動で幕引き? 警察庁判断に募る不信

警察車両を撮影した画像

「なぜ今なのか」「百条委員会(調査特別委員会)設置の必要性は高まった」-。

鹿児島県警で相次ぐ不祥事の解明が進まぬ中、野川明輝本部長の転出が30日発表された。

県内の性被害者や識者らからは疑問の声が相次いだ。

県議会で百条委設置を提案してきた県民連合。

福司山宣介会長は「今回の異動で常任委に毎回出席することはなくなる。調査権が強力な百条委設置の必要性がむしろ高まった」と強調する。

自民党県議団の西高悟会長は、県警の議会答弁と裁判での説明に食い違いがあれば、百条委設置を検討する考えに変わりはないとし「全国どこにいても野川氏に対応してもらう」と話した。

同志社大学政策学部の太田肇教授(組織論)は警察庁の判断をいぶかしむ。

「今後隠蔽(いんぺい)疑惑が追及されても、当事者でない者の説明は説得力を欠く。真相解明を求める県民感覚とかけ離れている」と断じ、「異動で幕引きを図っているのでは」と不信感を示す。

一方、人事は本庁が決めることと理解を示す現職警察官も。

ある幹部は「現場は指示に従うのみ。野川本部長は隠蔽疑惑を否定した上で再発防止策を形にした。責務は果たしたと思う。再発防止策の実行は現職員のわれわれの仕事だ」と話した。

県警が取りまとめた再発防止策は性犯罪対策が手薄な点が指摘される。

県内の性被害者の女性会社員(28)は「性犯罪対策の指示を徹底してから出ていくべきだ」と訴える。

「被害者にとって、警察官はつらい経験を最初に打ち明け、頼りたい存在。不信感の払拭は急務で、トップダウンのスピード感が必要」とくぎを刺した。

鹿児島県警の野川明輝本部長(53)の後任には、警察庁交通局交通規制課長の岩瀬聡氏(50)が就く。

岩瀬氏は東京都出身、京大総合人間学部卒。

1999年に警察庁に入り、茨城県警捜査2課長、在ベトナム日本大使館一等書記官、警視庁警備1課長などを歴任している。

参照元:Yahoo!ニュース