福島第1原発、デブリつかむ作業成功 事故後初の回収へ大きな一歩

福島第一原子力発電所の外観を撮影した写真

東京電力は30日、福島第1原発2号機の溶け落ちた燃料(デブリ)の試験採取で、回収装置の先端に取り付けた爪形器具でデブリをつかむことに成功したと発表した。

原発事故後初のデブリ回収に向けた大きな一歩となる。

順調に行けば、今後1週間程度でつかんだデブリを専用容器に入れ、回収できる見通し。

東電によると、30日午前9時57分に作業を開始。

2号機原子炉格納容器に挿入した回収装置の先端から釣り糸のようにケーブルを垂らし、デブリをつかむ爪形器具が約4メートル下の原子炉底部に堆積したデブリに到達し午後0時33分、小石状のデブリをつかんだことを確認した。

今後は回収装置を原子炉から引き抜く工程に入る。

ただ、放射線量の測定で毎時24ミリシーベルトを超えた場合、作業員の被曝を防ぐため、格納容器内にデブリを戻すとしている。

計画では、デブリは極めて強い放射線を出すため、今回は3グラム以下の微量採取にとどめる。

回収に成功すれば、国の研究機関に運び、デブリの硬さや成分などを分析。

大規模取り出しに向けた工法検討に役立てる。

デブリ回収は当初目標の3年遅れで開始。

今年8月には準備段階でミスが発覚し作業を中断した。

9月10日の再開後も回収装置のカメラに不具合が生じ再び中断。

2台を交換し、今月28日から作業を再開した。

事故で炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機の原子炉内には、推計880トンのデブリが堆積する。

政府と東電は2051年までに全量を取り出す目標を掲げるが、具体的な工法や処分方法などは決まっていない。

参照元:産経新聞