女性衆院議員が一度も誕生していない県、なぜ? 「地域代表は男性」根強い偏見か 識者は政党の本気度を問う

国会議事堂の外観を撮影した写真

15日公示の衆院選で鹿児島県内の小選挙区に立候補を予定する12人のうち、女性は2人(11日時点)にとどまる。

過去に衆院の県内選挙区で当選した女性はいない。

識者は「国会の大多数を男性が占めている現状では、多様な声を国政に反映することはできない」と問題視する。

県選挙管理委員会がまとめた「選挙の記録」などによると、戦後、女性の参政権が認められて以降、県内の衆院選は補選など含め計34回あった。

立候補者延べ682人のうち女性は12人、当選者延べ250人のうち女性はゼロだった。

国は第5次男女共同参画基本計画で国政選挙の女性候補者を「2025年までに35%」とする目標を掲げる。

前回衆院選の女性候補者割合は全国で17.7%、当選者に占める割合も9.%と目標には遠い。

18年5月成立の「政治分野の男女共同参画推進法」は、国政や地方選で政党に候補者数の男女均等を促すが、努力義務で罰則はない。

4日現在、衆院議員465人のうち女性は51人(比例区を含む)で10.9%だった。

県内の女性議員を100人にする会の平神純子代表(67)は「女性本人の希望に任せるだけでなく、政党が本気で取り組まない限り男女平等には近づかない。引退する議員が地盤を引き継ぐ相手も男性が多い」と訴える。

衆院議員に立候補できる満25歳以上は、妊娠・出産の適齢期と重なる。

17年には妊娠を公表した女性衆院議員が「辞職すべきだ」とバッシングされた。

「地域の代表は男性」という有権者の意識も根強い。

県の男女共同参画セミナーなどで講師を務める高崎恵さん(49)は「PTA会長や自治会長は男性が選ばれることがほとんど。女性は向かない、という偏見を男女ともに持っている」とみる。

なぜ議会に女性が必要なのか。県男女共同参画審議会のたもつゆかり会長(71)は、出生率低下を例に挙げる。

1970年代、働きながら子育てをする環境の整備は不十分で、女性は生きづらさを感じていた。

当時、問題に共感できる政治家が国会に少なく、政策課題として認識されなかった。

人口減少への対応が後手に回った一因だと考えている。

「大半が年配の男性など、同質性の高い集団で政策を決めると、重要な問題を見逃す可能性がある」

政治家は地方議員としてスタートし、県政や国政へとキャリアアップするケースが多い。

「県内の地方議会で女性議員は増加傾向にある。今後、国政への進出も増えてほしい」と期待を込めた。

参照元:Yahoo!ニュース