中国石油大手、EV時代に向け充電施設事業に注力 設備過剰も
北京郊外・小武基の目立たない脇道を入った場所に、国営石油大手の中国石油化工集団(シノペック)が昨年12月に開設した電気自動車(EV)充電ステーションがある。
この場所を見れば、「ポストガソリン車時代」が迫る中国の将来の姿を垣間見ることができる。
同施設には、EV用の急速充電器70基のほか、コーヒーマシンやマッサージチェアが完備されている。
バッテリー搭載車が主流になる時代に対応しようと、同社が中国全土で建設を進める数千カ所のうちの一つだ。
世界最大の自動車市場である中国でのEV販売は、今年販売される約2300万台の自動車のうち40%を占めるとみられている。
一方で、中国のガソリン需要は2025年までにピークを迎え、45年には半減する可能性もあると予測されており、同国の石油精製・販売最大手であるシノペックと中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は経営戦略の転換を迫られている。
シノペックとペトロチャイナは合計で、国内10万カ所以上あるガソリンスタンドの約50%を運営しており、その収益の半分近くを燃料販売が占めている。
「両社は失速の予兆を目の当たりにしている。だからこそ、低炭素経済に合わせたサービスステーションの設置に取り組んでいる」と、米コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターの研究者、エリカ・ダウンズ氏は指摘する。
英シェルや仏トタルエナジーズなど中国以外の石油大手企業も、小規模だがEV導入が進むノルウェーなどの市場で得た教訓を、規模を拡大して中国でも生かせるよう模索している。
ただ、中国の公共EV充電セクターは市場の細分化や設備過剰、使用率の低さや損失に悩まされ、ビジネスモデルの転換を目指す石油会社は幾つもの課題を抱えている。
最近のある平日の午後、小武基バッテリー充電スタンドでは70台ある充電器のうち54台が空き状態だった。
タクシー運転手が利用客のほとんどを占め、その一人は、ここでの充電スピードは速いが、自宅で充電するよりも少し高くつくと語った。
参照元∶REUTERS(ロイター)