早期解散、崩れる目算 裏金非公認で混乱、答弁防戦 石破自民、懸念抱え衆院選へ

国会議事堂を撮影した写真

9日の衆院解散を目前に、自民党の混乱が止まらない。

派閥の裏金事件に関係した一部議員を衆院選で非公認とする執行部方針に、地方組織から再考を求める声が公然化。

石破茂首相(党総裁)の判断は後手に回り、政策面の主張も含めて「ぶれた」印象が浮き彫りになった。

世論の期待をてこに、超短期で解散・総選挙に臨み、裏金事件の逆風をしのごうとした目算は崩れつつある。

「公認は党選挙対策委員会で適切に判断するが、最終的な公認権者は総裁である私だ」。

首相は8日の参院代表質問で、裏金問題への対応を野党議員から問われると、自身の「指導力」を強調した。

ただ、公認問題に対する執行部の対応は迷走した。

2日、森山裕幹事長は旧安倍派の閣僚経験者に「原則公認」との認識を伝えており、「裏金議員」の間では安堵(あんど)感が漂っていた。

それが覆ったのは、衆院選に向け、党が独自に実施した情勢調査の結果が「振るわなかった」ためだと、複数の関係者が証言した。

党関係者は「裏金議員を公認すれば、衆院で単独過半数を割り込む傾向だった」と説明。

首相は7日の全国幹事長会議で「国民の批判は思ったよりはるかに強い」と危機感を訴えた。

9月27日の総裁選前後は党内融和を重視する姿勢も見せたが、裏金問題に対する世論の見方は厳しかった。

党方針が決まるまで1週間以上が経過し、首相の決断は解散直前となった。

党内では悲鳴や不満が広がる。

東京では、旧安倍派の有力者だった萩生田光一元政調会長(24区)、旧二階派の平沢勝栄元復興相(17区)が非公認となる。

これを受け、東京都連の井上信治会長(麻生派)が8日、森山氏に「地元で公認を求める声が出ている」と翻意を求めた。

それでも首相や森山氏らは非公認対象を、既に明らかになっている6人以外にも広げる方向だ。

対象となり得る旧安倍派議員は「ばかげたやり方だ」と吐き捨てるように言った。党の亀裂は深刻だ。

裏金議員全てに比例代表との重複立候補を認めない方針となり、比例単独候補の擁立作業を急ピッチで進める必要にも迫られる。

首相は8日昼、森山氏と小泉進次郎選対委員長を呼び、女性候補の上積みを指示。

15日の公示が迫る中、「きちんとした候補を選べるのか」(政府関係者)との声が上がる。

裏金議員を抱える旧安倍、旧二階派以外からは首相の対応を「よく判断した」などと評価する声も多い。

一方、麻生派の森英介元法相は8日、記者団に「こんな目前で言われても困ってしまうだろう」と対応の遅さに苦言を呈し、衆院選に「暗雲が漂っている」と懸念を示した。

8日の参院代表質問でも、野党は首相との対決姿勢を鮮明にした。

首相が総裁選で前向きな姿勢を示した選択的夫婦別姓制度を巡り、立憲民主党の田名部匡代参院幹事長が「いつまでに、どのようなプロセスで実現させるのか」と迫ると、首相は「国民各層の意見を踏まえ、必要な検討を行っていきたい」と防戦に追われた。

首相が歯切れの悪い答弁を連発していることに、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は「不器用でも真っすぐだから国民は首相に期待した。誠実な石破茂氏はどこへ行ってしまったのか」と、重ねて「変節」批判を浴びせた。

参照元:Yahoo!ニュース