米大統領選まで1か月、民主も共和も「10月の波乱」警戒 過去にヒラリー氏メール問題、トランプ氏コロナ感染など
5日で投開票まで残り1か月となった米大統領選では、民主、共和両党の陣営が「オクトーバー・サプライズ(10月の波乱)」を警戒している。
終盤戦に起きた突発的な出来事は、過去の大統領選でも勝敗に影響してきた。
「いつものように、10月に何かが起きるのを心配している」
民主党のヒラリー・クリントン元国務長官は9月末、米公共テレビPBSの公開インタビューでこう述べ、大統領候補のハリス副大統領が選挙戦の終盤になって打撃を受ける事態が起きることに懸念を示した。
2016年大統領選でトランプ氏に敗れたヒラリー氏自身、最終盤に波乱に見舞われた。
国務長官在任中に個人メールで機密情報をやりとりしていた問題で、新たなメールが見つかったとして、投票日の11日前に連邦捜査局(FBI)が捜査を再開した。
9日間の追加捜査で「訴追見送り」の方針は示されたが、ヒラリー氏の勢いはそがれた。
20年大統領選では、トランプ氏の新型コロナウイルス感染が波乱だったと指摘される。
まだワクチンが流通していない時期で、当時74歳で年齢的に重症化リスクが高かったトランプ氏の健康状態に関心が集まった。
ウイルスの危険性を軽視する発言を重ねていただけに、支持者にも不安が広がった。
「オクトーバー・サプライズ」は元々、デパートの秋季セールの宣伝文句だった。
政治用語となったのは、再選を狙った民主党のカーター氏に共和党のレーガン氏が挑戦した1980年大統領選だ。
CNNによると、選挙戦終盤に劣勢だったカーター氏は、当時、国民の一大関心事だった在イラン米大使館人質事件を解決することで逆転を狙い、レーガン陣営はこれを「オクトーバー・サプライズ」と呼んで警戒した。
実際に実現はせず、カーター氏は敗れた。
人質はレーガン氏が大統領に就任した翌年1月20日に解放された。
レーガン陣営には、イラン側と裏取引し、人質解放を遅らせた疑惑がある。
今回の選挙戦では、トランプ氏に対する暗殺未遂事件や民主党大統領候補の交代劇など、すでに異例の事態が相次いでいる。
中東情勢は緊迫の度合いが増しており、大災害も波乱要因となる。
大詰めでまた流れを変えるサプライズが起きる可能性は排除できず、両陣営の対応力もカギを握りそうだ。
参照元:Yahoo!ニュース