「港区」は6.2人に1人が社長さん 社長が住む街トップは盤石の「港区赤坂」
2024年に全国で社長が最も多く住む街は、12年連続で東京都「港区赤坂」で、唯一、4,000人を超えた。
大企業をはじめ、多くの企業が本社を置く港区では、「赤坂」のほか、「六本木」、「南青山」、「芝浦」、「高輪」、「南麻布」もトップ10に入った。
港区の人口に占める社長比率は15.9%(前回15.1%)で、住人の6.2人に1人が社長という。
市区郡別は、トップ20位までに東京23区のうち、18区が入った。
東京以外では、13位の埼玉県川口市のほか、千葉県船橋市、同市川市、大阪府東大阪市、兵庫県西宮市などが多い。
都市圏のベッドタウンや中小企業の集積地に社長が多く暮らす傾向が続いている。
人口減少が進む地方を尻目に、東京や大阪など都心部へのストロー現象が顕著で、タワーマンションなどの不動産開発が「職住近接」ニーズを拾い上げている。
今後も若手経営者を中心に、都心住居への集中は続くとみられる。
全国で社長が住む街のトップは、東京都「港区赤坂」の4,400人で、唯一、4,000人を超えた。
都市型の商業施設や繁華街のある「赤坂」は、高級マンションが建ち並ぶ閑静な住宅地も多い。
米国大使館など各国大使館も点在し、大使館員や外資系企業の駐在社員も多い。
2位は、東京都「新宿区西新宿」の3,706人。
鉄道駅では、乗降客数が世界一のJR新宿駅に隣接する副都心で、都庁など高層ビル群が並ぶ。
近年はタワーマンション建設が相次いで住宅供給が進み、都心へのアクセスを重視した富裕層に人気が高い。
3位は、赤坂に隣接する東京都「港区六本木」の3,436人。
「ヒルズ族」を生み出した六本木ヒルズが街のランドマークで、外国人社長も多い。
次いで、4位が東京都「港区南青山」、5位が東京都「渋谷区代々木」、6位が東京都「港区芝浦」で続き、上位6位の順位は前年と変わらない。
7位は東京都「江東区豊洲」が2,954人で、前年9位から浮上した。
東京駅や銀座へのアクセスが良く、タワーマンションが林立するベイエリアを象徴する。
タワーマンション開発で交通網が拡充し、公園や病院、学校、商業施設も充実。2018年に築地から移転した豊洲市場も人気がある。
8位は東京都「港区高輪」が入った。
江戸時代から武家屋敷が並ぶ由緒ある邸宅街だ。
新幹線も停車する品川駅に隣接した利便性の高いエリアで、JR山手線では49年ぶりに新設された「高輪ゲートウェイ駅」が2020年に開業し、ますます注目を集めている。
東京都以外では、神奈川県の「三浦郡葉山町」が1,596人で最も多く、56位(前回58位)に入った。
三浦半島で、マリンスポーツやゴルフなどを楽しめる。
観光スポットの鎌倉にも近い。
次いで、大阪府「大阪市西区南堀江」が63位(同65位)、同じく「大阪市福島区福島」が86位(同87位)で続く。
ともにタワーマンションの建設ラッシュが進行中で、事業地から居住地への転換が顕著にみられる。大阪圏で職住近接を志向する財界人にも人気が高い。
市区郡の社長数は東京都世田谷区、社長比率は東京都港区がそれぞれトップ2024年社長の住む街ランキング(市区郡ベース) 市区郡別の社長数は、トップ10を東京23区が独占し、20位までに18区がランクインした。
最多は、「世田谷区」の5万7,334人で唯一、5万人を超えた。
23区では大田区に続いで2番目に面積が広く、人口は最多の91万8,141人が暮らす。
高級住宅地も点在し、町村別では「深沢」、「奥沢」、「成城」、「下馬」の4エリアが20位台に入る。
2位は「港区」の4万2,384人で、本調査で初めて4万人を超えた。
社長比率は人口の15.9%(前回15.1%)と全国一で、6.2人に1人が社長だ。
都心部の再開発で高級マンションの供給が続き、町村別でもトップ10に6エリアがランクインした。
3位は「渋谷区」の3万929人で、初めて3万人を超えた。
流行の発信地で若者やインバウンドが集まる一方、落ち着いた住宅地も多い。
町村別5位の「代々木」、「広尾」、「恵比寿」、「神宮前」が20位以内に入る。
社長比率は13.4%(同12.6%)で、港区に次ぐ全国2位。
「千代田区」の社長数は8,841人で全国56位だが、社長比率は12.8%(同12.2%)と3位に入る。
皇居を中心に、「大手町」や「丸の内」などのビジネス街、官公庁が集まる「霞が関」、国会議事堂など政治の中枢の「永田町」などがある。
ただ、人口は23区で唯一、10万人を割る6万8,755人で相対的に社長比率が高い。
市区郡 東京都以外では、埼玉県「川口市」が2万1,485人で最も多く、全国13位。
また、20位に千葉県「船橋市」、21位に同「市川市」、29位に同「松戸市」と千葉県3市が入った。
首都圏以外では、22位に大阪府「東大阪市」、23位に兵庫県「西宮市」、25位に鹿児島県「鹿児島市」が上位に入った。
さらに、2024年1月の行政区再編で新たに誕生した静岡県「浜松市中央区」が社長数1万4,231人で26位にランクイン、静岡県の都市で初めて100位以内に入った。
社長比率は、大阪府「大阪市中央区」が8.9%で全国5位に入った。
このほか、9位に大阪府「大阪市西区」6.8%、10位に大阪府「大阪市北区」6.6%と、大阪市が続く。
都道府県庁所在地の「社長比率」 東名阪、福岡、京都が上位を維持2024年社長の住む街ランキング(都道府県庁所在地) 人口に占める社長比率を都道府県庁の所在地別でみた。
トップは、企業数と社長数が多い東京23区の5.4%。市区郡別でトップ3を占めた「港区」のほか、「渋谷区」、「千代田区」、「豊島区」の4区が10%超で、23区全体の社長比率を押し上げた。
次いで、2位に大阪市4.0%、3位に福岡市3.28%、4位に京都市3.22%、5位に名古屋市3.1%、6位に横浜市2.96%など、政令指定都市が並ぶ。
政令指定都市以外では、7位の徳島市2.91%が最高。 一方、社長比率が最も低い47位は山口市の1.5%だった。
山口県は、地元の地銀や大手企業が本社を置く下関市の社長比率は2.0%で、経済と行政の中心地が離れたことが要因とみられる。
「社長の住む街」調査で、職場に近く利便性の高い都心部で暮らす「職住近接」志向がより強まっていることがわかった。
不動産業界もその傾向を見越して、富裕層が満足するハイグレードな居住空間や設備、セキュリティ機能などを備えた高級住宅施設の供給を続けている。
社長数が全国1位の東京都「港区」では、「麻布台ヒルズ」や「三田ガーデンヒルズ」などの大規模開発が話題を集めた。
都市が拡大すると都心部はオフィスビルや商業ビルが立ち並び、郊外の居住人口が増加するドーナツ化現象が起きやすい。
今回の調査でも、東京近郊で人口が増えた結果、「社長数」や「社長率」が上昇した都市もある。
だが、一方で、タワーマンションに住む社長も多く、大都市では反都市化現象が出にくい側面も見えてきた。
福島県や山口県など、産業と行政の特色(区分け)が鮮明な地域もあり、「社長の住む街」は人口動態とともに産業構造を映す指標にもなりつつある。
参照元:Yahoo!ニュース