スマホのバツが押せない「消えない広告」に代表されるダークパターンから身を守るには?
「バツ」ボタンを押しても消えない広告にイライラした経験はないだろうか?
こうした悪質な広告やWebサイトはユーザーを意図しないページに誘導したり、ユーザーの行動を妨害することがある。
これらは「ダークパターン」と呼ばれる手法の一例だ。
ネットサーフィンをしているとしばしば目にする画面を覆いつくすほど大きな広告。
その広告の右上や左上に小さく付いている小さい×ボタンを消そうとしてなかなか消せなかったことは誰にでもあるだろう。
またなぜか×ボタンを押したのに広告の商品ページに飛んでしまったり、×ボタンの位置がズレてなかなか消せないといったケースもある。
こうした悪質広告は「ダークパターン」と呼ばれており、世界中で問題に。詳しくは後述しますが、規制の対象ともなっている。
■スニーキング(こっそり)
スニーキングは、ユーザーが気づかないうちに追加の商品やサービスを購入させる手法。
たとえば、オンラインショッピングの際に、知らないうちに保証サービスが追加されていたり、メールマガジンの購読にチェックが入っていたりすることがある。
商品を買おうとしたときに気が付いたら「思ってもない保証サービス」などがカートに追加で入っていて、支払いの直前にしか気づけないケースがある。
■アージェンシー(緊急性)
アージェンシーは、ユーザーに焦りを感じさせ、即座の行動を促す手法。
「残り3個!」「あと10分で終了!」といった表示がこれに当たる。
実際には在庫が十分にあったり、セールが延長されたりするケースもあり、ユーザーに一種の誤認を与えたうえで不必要に行動を急がせる「ダークパターン」と言える。
■オブストラクション(妨害)
オブストラクションは、ユーザーが望む行動を取ることを意図的に困難にする手法。
たとえば、サブスクリプションの解約手続きを複雑にしたり、解約ページへのリンクを見つけにくくしたりすることがこれに該当する。
また、「消せない広告」もこの一種と言える。
ダークパターンは日本ではまだ明確な規制対象になっていないが、欧米では規制の対象となっている。
たとえばFTC(米連邦取引委員会)は、オンラインゲーム「フォートナイト」の運営会社であるEpic Games社に対し、ダークパターンの使用およびプライバシーを侵害するデフォルト設定をめぐり、5億2000万ドルの罰金を科している。
このほか、ポーランドではAmazonが悪質なダークパターンで12億円の罰金対象になっている。
ポーランドの消費者保護庁によると、その問題の根幹は「Amazonで商品を購入したにもかかわらず物品が届かない」という消費者からの声が多かったことだ。
実はAmazonの売買契約の成立は代金受領時ではなく「商品発送の通知時」。
つまりAmazonは代金を受領した後、商品発送の通知前であれば注文を一方的にキャンセルすることがあるという。
つまりポーランドにおいて、Amazonは「売買契約の締結タイミングについて消費者に誤解を与えている」「配達される保証がないにもかかわらず、残り◎点など注文を急かす表示をする」といった点が、一種のダークパターンであるとして制裁の対象になったという。
Amazonやフォートナイトの例に代表されるように、普段から気軽に利用しているWebサービスやアプリにも「ダークパターン」は存在している。
ダークパターンから身を守るためには、まず主なダークパターンの種類を認識したうえで、Webサービスの利用時には一定の警戒感を持つことが大切だ。
多くのWebサービスやコンテンツが無料で利用できる背景には、有料コンテンツへの誘導や広告が存在している点についても正確に理解をすると良いだろう。
たとえば近年、ダークパターンは「サブスクの無料体験と解約」においてしばしば見受けられる。
無料体験に誘導したうえで解約ページのリンクを見つけづらくしたり、解約に極めて長時間がかかるサイト構成になっている場合がある。
つまり無料体験は便利な存在ですが「これはダークパターンではないか?」と不安を感じたら、不要になった際の解約手続きはどのようにして行うのか、事前に調べたうえで無料体験を試すと良いだろう。
参照元:Yahoo!ニュース