レバノン市民、イスラエル軍の攻撃でパニック 避難民の車で渋滞も
レバノン南部では23日、イスラエル軍の空爆により数百人が負傷し、医療従事者が治療に奔走する一方、攻撃から逃れるために退避しようとする市民の車で渋滞が発生した。
レバノン南部の病院職員は匿名でAFPの取材に応じ、「けが人が次々に搬送されてくる。病院の外の通りにも並んでいるため、負傷者が何人いるか分からない」と話した。
イスラエルは同日、レバノン南・東部でイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)の拠点約1300か所を空爆したと発表。
レバノン保健省は少なくとも492人が死亡し、うち35人は子どもだとしている。
イスラエル国境から15キロ足らずの地点にあるレバノン南部ナバティエ(Nabatiyeh)近郊の病院のジャマル・バドラン医師はAFPの電話取材で、「大惨事、大虐殺だ」と憤った。
首都ベイルートから、渋滞に巻き込まれながらAFPの取材に応じたレバノン人ジャーナリスト、ナジール・レダ氏は、イスラエル国境から25キロほど離れた故郷のバブリーイェ(Babliyeh)村に戻ろうとしていた。
乳児を抱える家族を戦火から遠ざけるため、バブリーイェに避難させたばかりだった。
子どもたちを村に残してきたのは、数日後には学校も再開予定で、普段住んでいるベイルート南郊よりは安全だろうと判断したためという。
「突然、攻撃が激化した。バブリーイェのように、過去の戦争でも爆撃を受けたことのない村々まで巻き込まれるようになるとは、誰もが思ってもみなかった事態だ」と話す。
「南部(のバブリーイェ)にまた向かい、子どもたちをベイルートに連れ戻さなければなければならなくなった」
「みんな、子どもと所持品を携えて(ベイルートに)向かっている。2006年以来、これほどパニックが広がっているのは初めてだ」と語った
2006年にヒズボラとイスラエルは軍事衝突。双方の応酬はそれ以来だ。
AFP特派員は、南部の港町サイダ(シドン、Sidon)を走る、ベイルートに向かう幹線道路で、イスラエル軍の攻撃から退避する車で渋滞が起きているのを目撃した。
同じく南部の沿岸都市ティール(Tyre)の災害対策担当職員も、避難民の車で渋滞が発生しているとAFPに伝えた。
大勢が避難所として使用されている学校に殺到し、路上で待機して今後の成り行きを見守っている人も多数いるという。
レバノンの国営通信社NNAは23日、同国市民に退避を促す内容の電話がイスラエルからかかってきていると明らかにした。
ジヤード・マカーリー(Ziad Makary)情報相の事務所にも同様の電話があったとAFPに認めた。
参照元:Yahoo!ニュース