日本産水産物の禁輸を解除へ 中国側が段階的に実施と発表 中国産魚介類の価格も上昇 “海鮮離れ”に不満も

日本と中国の国旗を撮影した写真

2023年8月の福島第一原発の処理水放出をめぐり始まった、中国による日本産水産物の輸入禁止措置。

20日、中国が日本産水産物の禁輸措置を段階的に解除すると発表した。

その背景には、中国側の深刻な国内事情があった。

福島第一原発の処理水放出をきっかけに始まった中国による日本産水産物の輸入禁止措置。

この日以降、日本各地で中国の国番号「86」から始まる迷惑電話が相次いだ。

(中国SNSより)
電話先:もしもし。

中国人:誰が“汚染水”を排出していいと言ったんだ!

電話先:申し訳ございません、日本語で…

中国人:バカ野郎!バカ!

輸入禁止から1年以上たった20日、岸田首相が中国側が日本産水産物の輸入禁止措置を段階的に解除することを発表した。

岸田首相(20日午後3時半ごろ):中国側は、日本産水産物の輸入規制措置の調整に着手し、基準に合致した日本産水産物の輸入を着実に回復させることとなった。

岸田首相は20日午後、IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長と電話で会談し、処理水の安全性に関する追加のモニタリング実施について合意した。

これを受け、中国側は基準に合致した日本産水産物の輸入を段階的に回復すると発表した。

中国外務省会見(午後4時過ぎ):中国は日本および関連国際組織と10回以上の集中的な交渉と協議を行い、双方の努力により本日合意が発表された。

1年以上続いた輸入禁止措置を解除した中国。

その背景にはある深刻な国内事情があった。

中国内では、日本産の海産物が出回らなくなると、中国産の魚介類の値段が約10%~30%上昇した。

これにより、経営が圧迫された日本料理店が8月だけでも十数軒閉店している。

また、海産物を食べない“海鮮離れ”も起きていて、漁業関係者から不満の声が上がっていた。

漁師(8月14日、中国・福建省):(処理水放出の)影響は確かにある。禁漁期間前(5月1日まで)に捕った魚がまだ売れていない。

苦しい状況が続いていた北京市内の日本料理店は、これまで日本産のマグロやウニを使っていたが、2023年8月24日以降は日本産以外のものに切り替えた。

日本料理「東也」・谷岡一幸オーナー:ようやく再開への1歩をスタートしたと、うれしく思っています。日本産の魚をお客さまにいち早く、1日も早く提供したいですし、それを楽しみになさっている方々が大勢いらっしゃるので、心待ちにしています。

日中両国は、専門家なども交え協議を継続、今回の結果に結びついたとみられている。

参照元:Yahoo!ニュース