ドイツ、不法移民対策で国境管理を強化 近隣諸国から非難の声

ドイツの国旗を撮影した写真

ドイツは移民取り締まりの一環として、16日からすべての陸路での新たな国境管理を開始すると発表した。

「シェンゲン圏」として知られる広範囲での自由な移動に制限を課すこの動きは、近隣諸国の怒りを買っている。

ドイツは16日から、オーストリア、スイス、チェコ、ポーランドとの既存の国境管理に加え、フランス、ルクセンブルク、オランダ、ベルギー、デンマークとの国境管理も開始する。

内務省の声明によると、ドイツ政府はすべての陸上国境で入国を拒否する権限を持つ。

この新しい規則は6カ月間施行される予定。

この動きは移民に関する議論が高まる中、ドイツが近年大きく方向転換したことを示すものだ。

2015年から16年にかけて発生した難民危機の間、メルケル政権下では100万人以上の新たな移民を受け入れた。

現在のドイツは極右野党が台頭するなか、他の欧州諸国に追随して規則を厳格化している。

ドイツは13日、ケニアと移民管理協定を締結した。

この協定により、ドイツはケニアの熟練労働者らに門戸を開くことになる。

フェーザー内相は今回の発表にあたり、ドイツは「具体的な措置を通じて国内の治安を強化し」、引き続き「不法移民に対する厳しい姿勢」を維持すると述べた。

今回の措置はイスラム過激派によるテロや重大な越境犯罪の危険からドイツ国民を守ることを目的としているという。

一方で近隣諸国からは批判の声が上がっている。

ドイツはシェンゲン協定に加盟している。

欧州連合(EU)の規則では、加盟国は公共政策や国内の治安に重大な脅威がある場合、一時的に国境管理を再導入する権限を持っているが、これは最後の手段だ。

ポーランドのトゥスク首相は陸路での厳格化された国境管理の導入について受け入れられないとし、影響を受けるすべての国との緊急協議を要請すると述べた。

ギリシャとオーストリアはドイツが拒否した移民を受け入れないと警告している。

ドイツ国内でも移民評議会がこの計画についてEU法に違反する恐れがあるとの懸念を表明している。

近年、特に中東やウクライナからの移民の急増やイスラム過激派によるテロ攻撃を受け、国内では移民問題への対応が不十分との批判が高まっている。

また、反移民、反イスラムを掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進を受け、ショルツ首相率いるドイツ政府は移民の取り締まりを急いでいる。

参照元:Yahoo!ニュース