マッチングアプリ使ったのに「知り合い」ばっかり 地方都市あるある
今は恋人探しや婚活で当たり前に使う「マッチングアプリ」。
ある調査では、結婚1年以内の男女4人に1人がマッチングアプリをきっかけに出会ったと回答している。
普段の生活では縁のない人と出会えるのが魅力の一つだが、大都市でない場合、アプリを使っても知人が出てくるという声も。
地方都市のマッチングアプリ事情を探った。
「知り合い、めっちゃ出てきます。アプリで出会う人とはゼロから始めたいのに…」。
広島市内の高校教諭男性(29)は肩を落とす。
大学生の頃から使っており、今は五つのアプリに月計約3万円を課金している。
写真を見てすぐに知人だと気付けるならまだよい。
男女ともに、自己紹介欄に載せる自分の写真をカメラのフィルターで「盛っている」場合があり、直接会ってやっと分かるケースも多い。
男性は知らないうちに教え子とマッチングし、その生徒から学校で「見たよ」と声をかけられたこともあるという。
「東京や大阪なら起こらないと思う。広島は狭過ぎる」と嘆く。
マッチングアプリは、
(1)自己紹介ページを作成後、相手の顔写真や自己紹介文、趣味などを見て気になる人に「いいね」をする
(2)アプリ内でのメッセージのやりとりや電話などでお互いのことを知る
(3)通信アプリのLINE(ライン)など別の連絡先を交換
(4)リアルにデートする―が一般的な流れだ。
自分とはつながりのない好みの相手と手軽に出会うことができるのが利点だ。
「アプリ婚」も増えており、明治安田生命(東京)が2023年に20~79歳の既婚男女1620人に実施したアンケートでは、結婚1年以内の夫婦の出会いのきっかけの1位が「マッチングアプリ」(25.0%)で、「職場の同僚・先輩・後輩」と同率だった。
婚活をしたことのある20代のうち半数がマッチングアプリを使ったと答えている。
アプリは居住地や年齢などを絞って検索でき、人工知能(AI)が相性の良い相手を自動で表示してくれる機能もある。
この機能で知人が表示されるケースがあるという。
福岡市の会社員女性(23)は「職場の同僚男性に自分が使っているのと同じアプリを勧めたら、その人からいいねが来て驚いた。
『いいね数に制限があるのに』と嘆いていました」と苦笑する。
広島市安佐南区出身で東京在住の会社員男性(26)は、就職で上京して初めてマッチングアプリに登録した。
「東京だと確実に地元の人には会わないから、やりやすい」と受け止める。
知人とはマッチングしたくない人が多いようだ。
とはいえ偶然、昔の知人とマッチングして幸せをつかんだケースも。
広島市安佐北区の公務員男性(29)は、親同士がもともと知り合いで幼稚園が一緒だった女性と昨年夏に結婚した。
別々の小学校に通い、中学校は同じだったが、あまり話すこともなかった。
すっかり疎遠になっていたが、マッチングアプリに表示され、「あの人かもな」と思ったという。
男性は「懐かしさもあっていいねした。全く知らないわけではなかったので、マッチング以降の流れが速かったように思う」と振り返る。
国内のオンライン恋活・婚活サービスの市場規模について、マッチングアプリ開発・運営のタップル(東京)は、28年には860億円に達すると予想する。
地域で実情に差はあれど、大切な出会いの場になっているのは事実だ。
需要の高まりを受け、広島県竹原市は本年度、県内の自治体で初めて国内最大級の恋活・婚活マッチングアプリ「ペアーズ」と連携し、同アプリの2カ月無料クーポンの支給を始めた。
市によると、7月下旬に受け付けを開始し、8月中旬時点で約10人の申請があったという。
予想を上回る申請数となっており、担当者は「市民同士がマッチし、市内で結婚、子育てまでしてもらえたら良いが、まずは街コンなどリアルと違う新たな出会いの機会の提供につながれば」と期待している。
参照元:Yahoo!ニュース