「えっ、もう着陸!?」フライト時間はたったの7分!日本最短の航空路線とはどこにある?実際に乗ってみた

奄美空港の外観を撮影した写真

現在、日本でもっとも短い航空路線を知っているでしょうか?

それは直線距離が24kmしかない「奄美大島-喜界島」。

そのフライト時間はわずか7分!

JALグループの日本エアコミューター(JAC)が運航している。

2024年8月1日から“日本最短航空路線”となった「奄美大島-喜界島」。

実は、この“日本最短航空路線”は、2024年8月1日に誕生したばかり。

同年7月31日までは、同じJALグループに属する琉球エアーコミューター(RAC)が、それまで最短だった「北大東-南大東」(直線距離13km)の区間を運航休止としたことにより生まれたものだ。

奄美大島―喜界島の路線がスタートしたのは、今からちょうど60年前の1964年7月1日のこと。

当時の東亜航空がイギリス製の4発レシプロ旅客機「デ・ハビランドDH.114ヘロン」で運航を開始したのが始まり。

それから60年を経る中で、運航会社は東亜国内航空(TDA)、日本エアシステム(JAS)へと移管され、1983年に現在の日本エアコミューターが運航を引き継ぐことになった。

現在、JACはこの路線に最新鋭ターボプロップ機「ATR42-600」を投入し、デイリーで2往復を飛ばしている。

その新たな“日本最短航空路線”の時刻表上の所要時間は20分。

この中には滑走路へ向かうまでの時間も含まれており、フライト時間だけに限ればもっと短くなる。

それが7分という短さなのだ。

では、その短いフライトはどんなものなのか。

筆者は奄美大島から喜界島へのJACの「JL3833」便に搭乗することにした。

この日、JL3833便のATR42-600は、奄美大島空港の滑走路「21」から南へ向けて離陸。

そこから約1分後、約1400フィート(426m)の高さに達すると機体を喜界島へと向きを変えながら1800フィート(548m)まで上昇。

この時点で速度は200マイル(322km)を超えていました。 周囲に島影はまるで見えない。

青い海が広がるだけだ。

そんな中、離陸から2分半経ったところで早くも着陸態勢に入ったことを知らせるアナウンス。

他のフライトと同様、使用中のテーブルやシートのリクライニングを元の位置にするよう指示されるが、そんな暇はまったくなかったというのが正直なところだ。

シートベルト着用サインも結局、最後まで消えることはなかった。

機体はそこからゆっくりと下降し、離陸から5分ぐらい経ったあたりでギアダウン。

車輪を降ろした軽いショックが伝わり、いよいよ喜界島に近づいてきたことを実感する。

そしてそこから1分後、ついに喜界島が見え、そのまま滑走路「07」の方角から着陸。

奄美大島空港を離陸してからここまでの所要時間は手元の時計で7分14秒。

あっという間のフライトだった。

ところで、2024年7月31日までは南大東-北大東の路線が“日本一”であったとお伝えしたが、実はこの区間も時刻表の上では所要時間が20分となっていた。

距離が短いのに所要時間が同じとはどういうことなのだろうか。

まるで鉄道のローカル線駅の雰囲気を持つかわいらしい喜界空港。

筆者はこれを確かめるために、2021年10月に南大東-北大東の路線を体験してみた。

この時の機材はボンバルディア「DHC8-Q400CC」でしたが、面白いことに南大東空港を離陸した後、機体は一旦、南大東島の上を周回してから北大東空港へと向かった。

つまり、ここからもわかるように、周回する時間をあらかじめ含めた時刻表となっているようなのだ。

ただ、客室乗務員によれば、風向きによっては、周回することなく真っ直ぐ飛ぶこともあるとのこと。

その時は5分程度で到着できていたようだ。

また、ネット上でその理由を検索すると、周回することで着陸しやすくなる高さまで上昇できることや、着陸するための作業手順を確保するために遠回りしているのではないか、との情報もあった。

一方で、奄美大島-喜界島はその距離が離れているため、真っ直ぐ向かっても高さや着陸作業に要する時間が十分取れる。

そのため、奄美大島-喜界島の路線ではほぼ時刻表通りに飛んでいたものの、南大東-北大東では風向きによって所要時間は違っていたようだ。

さて、新たに“日本最短航空路線”となった奄美大島-喜界島ですが、奄美大島を知っている人は多いと思うが、喜界島については知らない人も多いのではないだろうか。

そこで最後に喜界島について簡単に説明しておく。

喜界島は奄美大島と同じ鹿児島県の奄美群島に属し、奄美群島内では鹿児島市にもっとも近い島となる。

人口は推計で6092人(2024年6月末)。

島内はサトウキビ畑ののどかな風景が広がり、これを原料とした黒糖作りが島の主力産業ともなっている。

白ゴマの生産量で国内首位というのも興味深い。

また、“島”といえば青い海にビーチと組み合わせを思い浮かべるが、喜界島には複数の砂浜ビーチが存在し、ウミガメの産卵や孵化、オカヤドカリを見ることもできるそうだ。

ここは周囲が岩場だらけで砂浜は一切ない、南大東島や北大東島との大きな違いとなっている。

喜界島への行き方は、今回紹介した日本エアコミューターによる空路と、奄美大島の名瀬港からのフェリーのいずれかになる。

奄美大島にはJAL便以外に成田からLCC「Peach」も飛んでいますので、時期を選べば比較的安く行くことも可能だ。

これらを使って新たに誕生した“日本最短航空路線”で喜界島へ出かけてみるのも面白いかもしれない。

参照元∶Yahoo!ニュース