『ホス狂い』1か月600万円稼ぐも「幻覚見る客に首絞められた」危険すぎる「海外出稼ぎ売春の実態」専門家「日本人女性に厳しくなり不当な入国拒否増加」

金銭面に悩む女性

1か月に600万円の報酬。

国内ではなく海外のほうが高い報酬を得られるということで海外に売春に行く女性が増えているという。

今回、取材班は斡旋業者に接触、入国マニュアルを独自入手した。

初渡航はオーストラリア関西に住む20代の伊藤さん(仮名)。

去年11月、初めて海外の性風俗店で働いたという。

(伊藤さん※仮名):「海外の方が稼げるよ行ってみない?っていうので海外に行くということになりました。1日、日本円で40万円いくかな?くらい」 

これまでにオーストラリア・アメリカ・韓国の3か国で海外売春をしたという。

初めて渡航したのはオーストラリアのメルボルンだった。

伊藤さん以外にも日本人は複数いたという。

(伊藤さん)「ルームメイトみたいな人が1人来て、一緒に住んで仕事するって感じです。共同生活みたいな、一応日本人の子やったから全然大丈夫だったんですけど」

「ホストから抜け出せなくて…大きい会計は1日で500万円」

一度の渡航は1か月程度で多い時には約600万円稼ぐときもあった。

こうした海外での売春はいわゆる「海外出稼ぎ」とも呼ばれている。

伊藤さんが海外出稼ぎをした理由について、次のように話した。

(伊藤さん)「ホストから抜け出せなくて、タワーとか…一番大きい会計は(1日で)多分500万円。それで頑張るしかないかと。日本に比べると(海外は)ルールというか縛りも少ないから楽して稼げるかなと」

伊藤さんによると目的地には観光ビザで入国するが、実際は仕事をするため法律違反となる。

最近は同じ目的の人が増えているためか入国も一筋縄ではいかなくなっているという。

(伊藤さん)「(オーストラリアでは)日本人のパスポートを見せた瞬間に連れて行かれる。別室に行ったんですけど日本人の女の子であふれていました。(Qそこではどんなことを?)指の指紋、全部とられて質疑応答、観光で来たっていうのを絶対言い張っておかなければいけないからそれを突き通すだけ」

入国できたとしても海外売春には想定外の危険も伴うと話す。

(伊藤さん)「従順なイメージがあるらしくて日本人の女の子って。だから何をしても大丈夫だろう見たいな感じで殴ってこようとしたり叩いてくるとか、自分が払ったお金を奪って逃げようとしたりとか、強盗に近い」

私たちの取材に伊藤さんだけでなく複数の女性がホストへの支払いや整形費用などを理由に海外売春をしたと答えた。

中には「薬物で幻覚を見ている客に首を絞められた」「報酬が支払われなかった」などのトラブルを訴えている女性もいる。

海外出稼ぎ売春を終え帰国した女性は、海外の売春業者から斡旋業者へと送金された報酬のうち、女性側の取り分を受け取るのだという。

(伊藤さん)「お金をもらうときに(斡旋業者とは)初めて会います」「手渡しだからちょっとくらい中抜きされても正直ばれない」

「(QそれまではSNS上でやりとりを?)そうです。SNSで海外出稼ぎって入れたら、いっぱい出てくる。その中から自分で条件いい人を見つけて知り合うみたいな」

海外売春の入口はSNS『1か月1000万円』『稼げないわけない』こうした海外売春の入り口として女性たちが口をそろえるのがSNSでの投稿だ。

取材班も「海外出稼ぎ」と検索すると、SNS上には『アメリカで1か月1000万円』『本気の子は稼げないわけない』といった書き込みがみられ、エージェントのものと思われる投稿が複数出てきた。

高収入をうたう斡旋業者とみられるアカウントが複数存在していることも確認できた。

いくつかの業者に記者であることを隠し、連絡を取ってみた。

すると、3時間ほどで返信がきた。

【SNSでのやり取り】

(記者)「海外出稼ぎの際にはどのように入国をするのでしょうか?」

(斡旋業者)「僕の紹介で入国できなかった子はいないです。違法ではあります。売春自体が合法な国もございますが、渡航目的が違う時点で入国拒否の対象になります」

女性1人では売春を疑われるため入国審査がハードルになっているようだ。

また別の業者からは、入国審査をすり抜けるためのマニュアルが送られてきた。

マニュアルには次のような内容が書かれていた。

【入手した入国マニュアルより】

・入国のイミグレーションで疑われている最中に出稼ぎの案内が入り、言い訳できなくなり入国を失敗した女性がいます

・スカウトやエージェントは一旦入国前にブロックして現地で入国完了後に必要ならブロックを解除してください

・スウェットなどダサめな格好でお願いします

・化粧はスッピンで飛行機に乗ってください。オシャレな格好は絶対NGです。極力ダサくしてください。さらに、観光客だと思わせるため、「観光雑誌を持っていきましょう」「カモフラージュで2泊3日空港近辺のホテルを予約する」といった記載もあった。

記者はマニュアルを送ってきた斡旋業者に電話取材を試みた。

(記者)「毎日放送の記者でして、取材なんですけど…」

(斡旋業者)「あ、すみませんちょっと無理です。申し訳ない(電話を切る)」

記者であることを明かすと、すぐに電話が切れ、その後SNSアカウントも停止された。

こうした斡旋業者について警察庁は「職業安定法違反で今年1月と4月に摘発事例があり、今後も違法行為については厳正な取り締まりを推進していく」とし、安易に違法行為に関与しないようにと呼びかけている。

こうした海外出稼ぎ売春が増えているためか、2020年ごろからアメリカを中心に、海外に入国する際に、違法売春を疑われて入国拒否となってしまうケースが相次いでいると行政書士の佐藤智代氏は指摘する。

(アメリカのビザなどに詳しい佐藤智代行政書士)「入国拒否を受けた、理由が売春であるという相談が増え始めたのが2020年末ごろ、コロナで渡航者が少ない時期だった。この時期に感染リスクを冒して女性が観光で来るはずがないと思われるのか、渡航者が少ないので審査が時間をかけてなされていたようだ」

それまで年に3~4件だったという入国拒否の相談が、新型コロナウイルスによる移動制限が緩和され、2023年以降は多い時には1週間で7~8件の相談があったという。

(アメリカのビザなどに詳しい佐藤智代行政書士)「売春目的で入国した女性と過去に一緒に入国した男性はブラックリスト入りしてしまい、男性は売春関係者ということで強制送還された人もいる。本人は売春をしていない、知らなくても一緒に行った女性が過去に売春行為をしていたとなると芋づる式に引っかかってしまい、その人も入国拒否されてしまうこともある。日本人女性全体に対しての目が厳しくなっていて不当に入国拒否を受ける人が増えている」

違法な海外売春が蔓延することにより、無関係の日本人の海外渡航にも影響が出ているのだ。

これまで3か国に渡航し違法な海外出稼ぎ売春を行った伊藤さん。

稼げる一方で異国での危険な経験からもう二度としないと話す。

「エージェントさんは、いいことしか教えてくれないのと、なにか海外でトラブルがあったときになにも対応してくれないです」

「怖すぎたから1人で行くの」

「ちょっと良くないことしちゃったなという罪悪感も残っているから戻りたいかと言われると戻りたくないです」

多くの日本人女性が手を染めているといわれる海外出稼ぎ売春。

危険を伴う違法な売春が”気軽に”できるものであってはならない。

参照元∶Yahoo!ニュース