白浜の三段壁、毎日腹をくくって見回り 自殺しようとした女性救った81歳阪中さん「動ける限り続ける」

三段壁の外観を撮影した写真

和歌山県白浜町の三段壁で、自殺しようとしていた女性(40歳代)の命を守ったとして、県警白浜署は町シルバー人材センターに所属し、見回り活動を続ける阪中利和さん(81)(白浜町)に感謝状を贈った。

一人でも多くの人を助けるため、阪中さんは「動ける間は続けたい」と話す。

三段壁は階段状の岩壁(高さ約50メートル)が続く国指定名勝だが、人生に行き詰まった人がたどり着く場でもある。

このため、阪中さんは10年ほど前、町シルバー人材センターに紹介され、夕方に見回りを行っている。

「あなた、どうしたん」

6月24日午後6時30分頃、阪中さんは三段壁の展望台に一人でたたずむ女性に声をかけた。

見回り活動中、女性のことが気になっていた。

なかなか帰宅しようとしなかったからだ。

「自殺を図ろうとしているのではないか」。

ピンときた。

近づくと、顔は長い髪で隠れていたが、女性はうつむいて泣いていた。

女性は大阪府在住で、「死にに来た」と本心を語り始めた。

阪中さんは「ぐるぐる嫌なことを考えてしまうんやろ。前からばっかり、ものを見やんと、後ろからも考えてみたらどう?」と諭した。

30分ほど話した後、阪中さんは同署に通報し、女性を署員に引き渡した。

10日後の7月4日、巡回中に女性と再会した。

女性は「阪中さんのおかげで生きる決心がつきました。お礼を言いに来ました」と話していたという。

阪中さんは6月19日にも展望台近くで思い悩んでいた別の女性に声をかけ、自殺を思いとどまらせたといい、同署はこうした活動に対して感謝状を贈ることにした。

贈呈式が7月17日、同署であり、阪中さんは中田聖署長から感謝状を受け取った。

阪中さんは取材に対し、「毎日、腹をくくって三段壁に行く」と語った。

47歳の時に釣り好きが高じて移住した白浜に愛着が強いといい、「自殺の名所というイメージをなくしたい。(訪れた人には)白浜のファンになって『また来たい』と思ってもらいたい」と話した。

参照元:Yahoo!ニュース