「裸見せ合おう」被害の7割は男性 性的画像で脅し金銭要求 急増セクストーションの恐怖

SNSを利用している人

SNSで知り合った相手に性的な画像や動画を送らせ、拡散すると脅して金品を要求する「セクストーション」の被害が広がっている。

支援団体によると、主に未成年者からの相談が相次ぐほか、被害の約7割が男性という。

加害者は、海外の外国人犯罪グループが多く、欧米より法整備が遅れている日本にターゲットを移しているとみられる。

手口は巧妙で、SNSに子供が接する時間が増える夏休みは特に注意が必要だ。

《体、見せてよ》。

10代の男性は、英語学習の一環で利用していた言語交換アプリで外国人の女と知り合い、インスタグラムのビデオ通話をするように。

会話の中で女から体つきを褒められ、裸を見せ合おうと提案されたという。

男性が求めに応じ、自身の性器を見せたところ、女の態度は急変。

通話は切られ、メッセージで《録画している。フォロワーにばらまかれたくなければ、コンビニのギフトカードで5万円を振り込め》と執拗(しつよう)に要求された。

被害者支援を行うNPO法人「ぱっぷす」(東京都)に寄せられたセクストーションの被害相談の一例だ。

ぱっぷすによると、被害相談は令和5年度は528人、6年度はその3.5倍以上の1864件に急増。

今年度はこれまでに千件を超える相談が寄せられ、前年度を大きく上回る見通しだ。

これまでの相談者の68%は男性で、男性は性被害に遭わないという先入観が背景にあるという。

英語の練習や、恋愛トーク、悩み相談…。

加害者は、被害者と何気ないSNS上でのやりとりを重ね、信頼感を抱かせた上で、性的画像を送らせる。

相手から画像を送られたら自分も返さなければならない気持ちになる「返報性の原理」が働くように仕向けるという。

脅迫の過程では、さらに精神的な揺さぶりをかけるのが特徴だ。

「あと10分で拡散する」と脅し、冷静さを失わせ、考える余裕を与えない手法や、20万円を要求した後、「2万円で許してやる」と譲歩するようにみせかけ、被害者を追い詰めていく。

被害者は、画像を送った罪悪感もあり、周囲に相談できず、やり取りを続けてしまうケースがあり、深刻化してしまう。

こども家庭庁が公表する調査報告書によると、2019年以降、米国では被害に遭い、自ら命を絶った子供も出るほどセクストーションの被害が拡大。

米連邦捜査局(FBI)が警報を発する事態となり、複数の州がセクストーションを取り締まる州法を制定するなど規制が進む。

ぱっぷすによると、ナイジェリアやフィリピンなど海外を拠点とする外国人犯罪グループが、通話役や脅し役などに役割分担し、犯行に及んでいるケースが多い。

人工知能(AI)の進歩などで翻訳精度が上がり、言語の壁が突破できるようになったことで、日本を標的にするようになったとみられる。

ぱっぷすの金尻カズナ理事長は「SNSで性的な話をしないと決めるなど、自分で境界線を決めておくことが重要」と指摘。

もし被害に遭ったら、すぐにブロックして連絡を断つことが大切だと強調する。

その上で、子供に対する学校や家庭での予防教育や、外国人加害者への対応のため、プラットフォーム運営者との情報連携や摘発ルートの強化、デジタル性暴力被害に特化した相談窓口の設置などを訴えている。

参照元:Yahoo!ニュース