「健康を維持する」ために必要な1日の「歩数」は何歩が正解?

健康を維持するには「1日1万歩」が長く一つの指標になってきた。
これは推奨される1日のエネルギー消費量が約300キロカロリーであり、それが1万歩(体重60キログラムの人が歩幅70センチメートル、時速4キロメートルで歩く場合)に相当するという考えに基づいている。
ただ、これはいわゆる万歩計(東京オリンピックに合わせて1960年代に製品化され、世界的にもManpo-keiとして一般名詞化)の広告キャンペーンが影響したとされ、1万歩以下でも健康を維持するためには十分という研究も多く出されるようになった。
最近のオーストラリアなどの研究グループの論文は、1日あたり7000歩が健康リスクを避けるための一つの指標としている。
この論文(複数の論文を同じ指標で選んで統合分析する手法)によれば、1日2000歩と比べ、1日7000歩では全死亡リスクが47%、心血管疾患の発症リスクが25%、同死亡リスクが47%、がん発症リスクが6%(統計的に有意ではない)、同死亡リスクが37%、2型糖尿病リスクが14%、認知症リスクが38%、うつ症状リスクが22%、転倒リスクが28%、それぞれ低くなるとしている。
ただ、歩数と健康や死亡率の関係については、健康な人ほど多く歩けるという選択バイアス(逆因果関係)や交絡(社会経済格差など背後に隠れて影響する別の要因)の影響が排除しきれないこともある。
同研究グループもエビデンスの必要条件を満たした論文をランク付けして選んでいるが、選択バイアスや交絡の危険性のある論文が混じっているだ。
ちなみに、厚生労働省が進める健康日本21(第三次、2024年から2032年)では、1日の歩数の平均値として7100歩(20歳から64歳で8000歩、65歳以上で6000歩)を目標値に定めている。
参照元:Yahoo!ニュース