米ロ宇宙機関トップ、フロリダ州で異例の月面開発協力協議

ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスは31日、ドミトリー・バカノフ社長と米航空宇宙局(NASA)のショーン・ダフィー暫定長官が米フロリダ州のケネディ宇宙センターで異例の対面会談をし、月面探査協力や国際宇宙ステーション(ISS)を巡る両国の長年の関係維持について話し合ったと発表した。
ロスコスモスとNASAのトップが直接対面するのは2018年以来。
NASAはこの会談について情報を公開せず、問い合わせにも回答していない。
ロスコスモスは通信アプリ「テレグラム」に投稿し、カバノフ氏とダフィー氏がそれぞれスタッフに囲まれて会談する様子や、バカノフ氏の代表団が米政府当局者と交流する様子を映した動画を公開した。
ロスコスモスは「両機関は今後のISS協力、月面探査計画の連携、深宇宙探査の共同実施、その他の宇宙開発事業を巡る継続的な協力について話し合った」と述べた。
ロスコスモスとNASAは問い合わせに対して、月面探査計画や深宇宙探査に関する協議の詳細をコメントしていない。
こうした協議は両国の民間宇宙開発計画の関係改善を示唆し、世界の宇宙開発で転換点となる可能性もある。
ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻以前、NASAが力を入れる月面探査計画「アルテミス」に参加を予定していた。
しかし中国の月面探査計画「国際月面研究ステーション(ILRS)」に加わり、アルテミス計画の直接的なライバルとなった。
ロシアの宇宙開発計画はウクライナ侵攻の影響でほぼ孤立し、軍事宇宙分野の取り組みに対する投資を拡大する一方で、西側諸国との共同宇宙探査事業のほとんどが破綻している。
NASAとロスコスモスはウクライナ侵攻を巡る米ロ間の緊張のために交流が制限されるが、宇宙飛行士の相互搭乗やISS協力を継続している
ISSは25年の歴史がある科学外交の象徴であり、両国の有人宇宙飛行能力の維持に不可欠な存在だ。
参照元:REUTERS(ロイター)