「もう限界です」通販の後払い決済で未払いが増加 人気製麺所が苦渋の決断 被害額は年間で100万円近くにも

後払いサービスをイメージした写真

徳島県の特産品、半田そうめんの製麺所「白滝製麺」(徳島県美馬郡)は8月から、通信販売での後払いサービスをやめる。

理由は「悪意のある未払い」が増えてきたため。

苦渋の決断を下した社長、森岡太悟さんに話を聞いた。

同製麺所が作る半田そうめんは太さとコシが特長。

贈答用から家庭用まで、さまざまな商品が通信販売で購入でき、全国にファンがいる。

通販での支払い方法は、郵便振替の後払いのほか、クレジットカード、Amazon Pay、楽天ペイ、銀行・ゆうちょ銀行振り込み(いずれも前払い)、代金引き換えがある。

後払いの場合、支払い期日は商品到着後7日以内としていた。

ほとんどの客がスムーズに支払いを済ませる中、原因ははっきりしないが、今年に入り、期日までに入金がないケースが目立つようになった。

「今年は明らかに悪意のある未払いが増えてきました」。

手口はさまざまで、まとめ買いされた商品がネット上で転売されていたこともあったそうだ。

森岡さんは「食品を転売するなんて」と驚く。

未払い者に対し、電話や郵送で督促したり、弁護士に相談したりしたこともあったが、時間と労力がかかるばかりで、回収できないことがほとんど。

中には「払えない」と開き直るような態度の人もいたのだとか。

せめて被害を未然に防ごうと、注文を受けると滞納の履歴がないかを調べる業務を加えた。

しかし、顧客を疑うことは「正直つらい」。

精神的な負担が重くのしかかるようになり、「お客さまを信用することと、お店を守ることの両立が難しくなりました」。

7月はすでに数件の未払い被害があり、このままでは今年の被害総額は100万円近くになる恐れが出てきたため、後払いサービスの終了に踏み切った。

「1件あたり2万、3万でも、積み重なると大きな負担です。もう限界です。零細のうちにはダメージが大きすぎます」(森岡さん)

森岡さんは「郵便振替での後払いは昔からある決済方法なので、便利に使ってくださっていた皆さまには申し訳ない気持ちです。PayPay(ペイペイ)など他の決済方法も導入し、支払い方法の選択肢を増やす体制も考えていますので、今後とも白滝製麺の半田そうめんをよろしくお願いいたします」と理解を求めた。

未払いに頭を悩ませる事業者は多いようだ。

同製麺所が公式Xで後払い終了を告知すると、「同じことで悩んでいます」「うちは代引きもやめました」などの声が寄せられた。

また、オンラインショップのお知らせページに「未払い者への対応」を掲載している事業者も複数あった。

いずれも対応策として、内容証明郵便による督促状の郵送、少額訴訟を起こす、警察に被害届を出すーーなどを挙げ、自衛していた。

参照元:Yahoo!ニュース