朝ごはんも小学校で 住民が市長に訴えて実現 想定超の児童利用

朝ごはんを食べている人

始業前の小学校で週2回、児童に朝食を無償提供する大阪府泉佐野市の「こども朝食堂」が好評だ。

市は今秋、取り組みを市内全13校に広げる。

利用する児童数は市の想定を超えているといい、担当者は「朝食を習慣化してもらうことで、健康で充実した学校生活をサポートできている」と効果を説明する。

7月上旬の火曜日、午前7時40分。

長南小(同市長滝)の家庭科室に子どもたちが元気良く入ってきた。

この日のメニューは夏野菜チキンカレーで、ニンジンやタマネギの他にカボチャ、ピーマン、シメジ、ナス、枝豆、トウモロコシと野菜がたっぷり入る

ミニトマトとバナナもつく。

6年生の男子児童は「友達と一緒に食べるので楽しい」と話した。

5年生の女子児童は「エネルギーがわいてくる。自宅で朝ごはんを食べると2時間目の授業が終わる時におなかがへるけれど、朝食堂を利用した日は3時間目まで我慢できる」と笑った。

食べ終えると、友達が「完食、完食」と声を掛けた。

同8時半までに、児童らはそれぞれの教室に向かっていった。

この日の利用は47人で、全校児童の15%に上る。

同小の吉岡幹人校長は「別のクラスや違う学年の子どもたちと一緒に楽しく笑顔で朝食を食べていて、いい雰囲気だと感じる。元気になって教室に行くのはありがたい」と語る。

同小の6、7月のメニューはオムライスや牛丼、ラーメンなど。

調理責任者の辻野聡子さん(63)は「子どもがあまり好きではない食材も使い、少しでも食べられるようになってほしい。にぎやかな様子を見ると、『今日も元気だな』とうれしくなる」と話した。

こども朝食堂は、児童が希望すれば利用できる。

きっかけは、市長が市政について市民の意見を聞く2022年秋のタウンミーティングで、通学を見守る住民が「家庭の事情で朝ごはんを食べずに登校する子どもがいる。何とか食べさせて学力や体力をつけさせてほしい」と要望したことだった。

市は23年2月に長坂小と中央小の2校で実証実験を開始。その際のアンケート調査で、児童の約2割は自宅で朝ごはんを食べていないことが判明した。起きる時間の遅さや、親が仕事で用意できないことなどが理由に挙がっていた。

市は24年度に実施する学校を12校まで増やした。

9月に日根野小でも始めて全13市立小に広げる予定。

今年度一般会計予算に事業費9703万円を計上し、調理と運営を5業者に委託している。

利用児童は市内全体で2割以上と想定を超えている。

市子育て支援課は「生活習慣の改善や1人で食べる『孤食』の解消、交流の場としての居場所づくりにつながっている。数字では表せないけれども、朝食堂での食事を楽しみに学校に登校する意欲の促進や学習意欲の向上に一定の効果が出ている」と説明する。

参照元:Yahoo!ニュース