太陽を見ると、くしゃみ なぜ?

暗いところから明るい屋外に出た瞬間、まぶしい太陽光を見上げた時、突然「ハクション!」とくしゃみが出た経験はないだろうか?
この現象、実は医学的にも認められた正常な反射で、「光くしゃみ反射」や「ACHOO(アチュー)症候群」と呼ばれている。
実はこの現象、古くから人類に知られていた。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスも、この現象に言及している。
東北地方で行われた調査によると、日本人の約25%がこの光くしゃみ反射を持っており、決して珍しいものではない。
また、この反射を持つ人は、家族の中に同じ反射を持つ人が多いとされており、遺伝的な要素が強いと考えられている。
この反射の特徴は明確だ。
まぶしさを感じた瞬間に、前触れもなくくしゃみが起こる。
個人差はあるが、花粉症のような鼻水は出ず、太陽光でも人工光でも反応し、一定の明るさ以上で発生する。
不思議なくしゃみの原因は、まだ完全には解明されていないが、現在最も有力視されているのが、顔の感覚を脳に伝える「三叉(さんさ)神経」が関わっているという説だ。
三叉神経は、顔の感覚や動きを司る非常に大きな神経だ。
一方、目から入った光の情報は「視神経」を通って脳に伝えられる。
この二つの神経は脳内で非常に近い場所を通っている。
そのため、急に強い光が目に入ると、視神経が過剰に興奮し、その刺激が隣接する三叉神経にまで影響してしまうと考えられている。
三叉神経は鼻粘膜のムズムズ感を担当しているため、光の刺激が鼻粘膜のムズムズ信号と勘違いされ、くしゃみ反射を引き起こすという仕組みだ。
2010年に行われた研究では、光くしゃみ反射を持つ人は、持たない人に比べて、強い光を浴びた際に脳の視覚皮質が特に活発に働くことが確認されており、光に対してより敏感な体質である可能性も示されている。
光くしゃみ反射は個人の体質によって起こるため、根本的な解決法はない。
しかし、長期間「光くしゃみ反射」に悩まされてきた人に対して、「鼻の下(いわゆる人中)を後上方に強く圧迫する」という手法が効果的だったという報告がある。
この部分を強く押すことで三叉神経の光刺激が緩和されるそうだ。
ただ、あくまで民間療法の1つに過ぎず、根拠があるとは言えない点に注意してほしい。
花粉症やアレルゲンが飛散する時期ではないのに、太陽の光を見るとくしゃみが出てしまう体質の方は、もしかすると光くしゃみ反射を持っているのかもしれない。
あまりにくしゃみがひどいときは、耳鼻咽喉科などを受診するようにしよう。
参照元:Yahoo!ニュース