2度の流産と不妊・不育症治療を経験したドーキンズ英里奈「不妊治療中はまわりの人の妊娠がうらやましくて自己嫌悪に…」

不妊治療と不育症の治療を経て、待望の第1子を出産したばかりのタレント・モデルのドーキンズ英里奈さん。
出産をするまでは2度の流産を経験し、つらい思いをしたそう。
まわりの人の妊娠報告を喜べず、自己嫌悪になることも…。
そんなドーキンズさんに、当時の気持ちや、どのように乗り越えたのかを教えてもらった。
——流産のあとは、とてもショックでつらかったかと思います。どのように前を向いたのかを教えてください。
ドーキンズさん(以下、敬称略):とにかく泣きました。もう悲劇の主人公というくらい、落ち込んでしまい、ショックで何もできなくて。家族や友人たちが話を聞いてくれたことで、少しずつ現実を受け入れることができました。私が初めて流産を経験したときは、まだまわりに結婚している友人は少なかったんです。だから、妊娠・出産を経験していない人ばかりだったんですが、みんな私の話を聞いて、「大変だったね」と言ってくれて。今思えば流産の過程の生々しい話もあったかと思うのですが、聞いてくれてありがたかったです。
また、SNSで公表したことで、「私も経験しました」と、たくさんの方がつらい経験をシェアして、励ましのメッセージを送ってくれたんです。親族からも、「みんなにはあまり言ってないから知らないだろうけれど、私も流産したことがあるんだよ」と言われたり、友人の中でも「実は私も…」と教えてくれる人がいたり。流産したときは、「なんで私ばっかり…」という気持ちもありましたが、「私だけじゃなく、つらい経験をしている人がこんなにたくさんいたんだ…」と知ることができました。
もちろん、悲しみが減るわけではないんですが、「起こりうることなんだ」「みんなも乗り越えているんだ」と思ったら、少しだけ気持ちがラクになりました。つらい経験をシェアしてアウトプットすることで、気持ちが落ち着くこともあるんだな…という気づきもありましたね。
——まわりの人の妊娠がうらやましくて泣いてしまい、落ち込んでしまったこともあったそうですね。
ドーキンズ:ちょうど、私が流産したあと、同年代の友人や知人たちの妊娠・出産が続いたんです。それに、すごく身近な弟夫婦からも妊娠報告がありました。
「なんでみんなうまくいっているのに、なぜ私はダメだったの?」と自分を責めたくなる気持ちと、大切な人たちのうれしい報告を素直に喜べない自分への嫌悪感がありました。だれかの妊娠と私の妊娠には関連がないと頭ではわかっているものの、どうしてもうらやましくなってしまって。気持ちの整理がつけられず難しかったです。
——立ち直ったきっかけはありますか?つらいときにどのようにして気持ちを切り替えていたのか教えてください。
ドーキンズ:おいっ子の存在が大きかったです。おいっ子が生まれるまでは、正直怖くて。うらやましさが勝ってねたんでしまったら嫌だなとか、大切な家族の関係に亀裂が入ったらどうしよう…と不安でした。弟夫婦も母も、私にすごく気を使ってくれて、大変だったと思います。友だちなら少し距離をとったりできるけれど、家族とはかかわらないわけにはいかなかったので。弟や義理の妹に対して嫌な感情はまったくなかったけれど、それでも、流産してしまった赤ちゃんと数カ月違いで生まれてくるから、そのときは、どんな感情を抱くのだろう…と不安がありました。
でも、生まれてきたおいっ子に会ったらそんな気持ちが吹き飛ぶくらい、ただただ、かわいくて!「私もわが子に会いたい!」という気持ちをより強く持つことができました。
——不妊治療中、夫の協力や夫婦関係はどうでしたか?
ドーキンズ:基本的には私主導で治療をすすめていきました。というのも、夫側は問題がなかったので、とくにやることがなかったのもありますし、夫は仕事が忙しかったからなるべく夫にストレスなく参加してもらえたらと思いながらやっていました。プレッシャーになってしまうのが嫌で、とくに不妊治療の内容などもシェアしていませんでした。なるべく明るく楽しくできたらと私は思っていましたが、実際夫がどう感じていたのかは、わかりません。
ただ、「不妊治療のクリニックに行ってみたら?」と背中を押してくれたのは夫。最初の流産から1年くらいたったころ、夫の転勤で東京から鹿児島に移住したので、知らない土地だし、車の運転も慣れていないし…と言い訳しながら、診察に行くことを少しためらっていたんです。自分は1度妊娠できたから、また妊娠できるだろうし大丈夫…という思いもありました。
でも、いざ、不妊治療のクリニックに行ってみたら、排卵していないことがわかったので、「あ、それは妊娠しないわ…もっと早く来ればよかったな」と。だから、もし、私と同じような人がいたら、ためらわないで、早めにクリニックに行くことをおすすめしたいです。
——不妊治療や不育症の治療中、周囲からの励ましでドーキンズさんがうれしかった言葉はありますか?逆に、こういう言葉には敏感になってしまった…というものがあれば、教えてください。
ドーキンズ:「赤ちゃんが来てくれることを願っている」とまわりに言ってもらえたことは励みになりました。同性の友人たちが治療の話を聞いてくれたことも支えになりました。敏感になってしまったのは、妊娠関連の話題です。SNSでは「妊娠」というワードをミュートにしていました。見てしまって悲しい思いをするなら、最初から見ないようにしようと。
私が1度目の流産を経験したあたりから、友人たちの結婚・妊娠ラッシュが続き、妊活をする友人も増えました。「なかなか妊娠できない」という人や、私と同じように流産をしてしまった人も。でも、どうしても、だれかが先に妊娠していき、それはしかたのないことなので…。本音で話せるような親しい友人同士では、「見づらくなったら、見なくていいよ」「ミュートしてくれてもいいし」と、お互いに見なくても責めないようにしようというスタンスでつき合っていました。「妊娠・出産・育児のネタは“親しい友だち”だけに公開にすれば見ないようにもできるから、気軽に言ってね」というような感じで。
——ドーキンズさんも、インスタで妊娠報告をしたとき、「どうしてもベビー関連の話題が増えてしまうかと思いますので、自分の心を優先して気兼ねなくミュートしてくださいね」というメッセージを添えていましたよね。
ドーキンズ:それぞれの人がそれぞれのライフステージごとに悩みに向き合っているから、必要としているSNSでの交流は変わると思うんです。不妊治療をしている人は妊娠中の人や育児をしている人を見ると、「妊娠できていいな、赤ちゃんがいていいな」と思うけれど、赤ちゃんを育てている人は、実は孤独な状況で大変な悩みや不安を抱えていて、はき出したり、誰かに助けを求めているかもしれないですよね。
私も産後はわからないことだらけで、「だれかに教えてほしい!」と思うことが多々ありました。その状況になってみないとわからないし、すべての人に配慮するのは難しいですよね。状況が変化していく中でしかたないことなのかな…と思うので、見る側(がわ)がミュートするのがいいのかな…って。自衛することで快適に過ごせると思うんです。友人であっても見てしんどくなってしまうくらいなら、ミュートにしたほうがいいです。だから、ミュートすることには罪悪感を持たずに、堂々とでいいんじゃないかな…と。
——不妊治療や不育症の治療で戸惑ったことはありませんでしたか?
ドーキンズ:不妊治療のクリニックに通い始めたら、やることは決まっていたので戸惑うことはあまりありませんでした。「半年やってみてダメだったら次のステップに進みましょう」と、やるべきこととそのタイミングが明確だったので。初めはタイミング法と人工授精を併用、それで妊娠できなかったら次は体外受精と。「この検査は今したほうがいい」「この検査は体外受精をすることになったらしましょう」と、クリニックの主導でわかりやすく教えてもらえて、納得して進めることができました。
鹿児島に移住してから通っていたよもぎ蒸しサロンのオーナーさんが薬剤師さんで、体質改善のためのアドバイスをしてくれたので、それもありがたかったです。私はもともとよもぎ蒸しが好きで通っていたんですが、不妊に悩んで体質改善したくて通っている人が多いサロンだったんですね。オーナーさんも不妊治療のお客さんの体験談を聞く機会が多いから、情報をたくさん知っていて。不妊治療のクリニックも、そのオーナーさんに教えてもらいました。「妊活中で不妊治療のクリニックに通ったほうがいいのかな…と思いつつ、引っ越してきたのでどこのクリニックがいいのかわからなくて…」なんて話していたら、おすすめのクリニックをコメントつきでリストアップしてくれて。そのコメントが、通ってみないとわからないような具体的な情報もあって助かりました。
そのオーナーさんが「お客さんの話を聞くと、この漢方相談に行ってから妊娠している人が多いから、もしかしたら合うかも」とおすすめしてくれた漢方薬局にも行ってみたんです。
血流をよくして体を温めるような漢方を処方してもらい、ふだんの生活でも少しだけ「血流」と「冷やさない」ことを意識するようになりました。効果は人それぞれだと思いますが、私の場合、漢方を飲み始めて2カ月で妊娠をしたので、合っていたのかな…と思っています。振り返ると、そのオーナーさんが私の不妊治療のキーマン。ネットで見る体験談なども励みになったけれど、そのオーナーさん経由で聞いた、身近に実在する人の成功体験はとくに参考になったし、励まされました。
——移住先で頼りになる人と出会えたのは、ラッキーでしたね。最後に、不妊症や不育症の治療をしている人に向けて、メッセージをお願いします。
ドーキンズ 私は治療をしているとき、出口のないトンネルを進んでいるような気持ちでした。決まった治療の流れがあるとはいえ、効く効かないは人それぞれなので、参考になることもあれば、ならないこともあって。体験談や妊活のレポートが励みになるけれど、それが100%自分に合うわけではない。「なんでこの人はこれで成功しているのに、私はできないんだろう…」と思ってしまうんですよね。でも、それはしかたないこと。だから、数を打っていく、いろいろやってみるしかないのかな…と思うので、行動するしかないのかな…と。自分のやっていることを信じてください。頑張っている自分をほめてください!幸せが訪れることを祈っています。
妊娠できないときに感じた気持ちを率直に語ってくれたドーキンズさん。
SNSはミュートにするなど、傷つかないための対策も教えてくれた。
参照元:Yahoo!ニュース