詐欺電話だと妻が見破った「その一言」 警察官を名乗る男、夫への通話でありえない自己紹介

警察官を名乗る男らに電話でうそを信じ込まされ、現金などをだまし取られる特殊詐欺の被害が後を絶たない。
虚偽の電話を受けたが、被害を免れた北海道道南地方の自営業の40歳代男性が16日、読売新聞の取材に応じた。
うそを見破ったのは、やりとりを聞いていた男性の妻。
「かけ子」の言葉の中に決定的なミスを見つけた。
5月28日午後、携帯電話が鳴った。
「070」で始まる見知らぬ番号だったが、仕事の用件かもしれないと、通話ボタンを押した。
相手は警察官だと名乗った。
大きな声が、そばにいた妻まで漏れ伝わった。
「大阪からということでしたが、仕事で大阪の案件もあったので、何の疑いも持ちませんでした。すると、傍らで聞いていた妻が『ハ、ハ、ハ』と笑うんです」と男性は振り返る。
妻は「だって、電話の人、自分は『大阪県警』って、自己紹介したんですよ」と笑った。
特殊詐欺の電話だと疑った妻はタブレット端末で通話の録音を開始し、夫には会話をできるだけ引き延ばすよう、身ぶりで指示した。
「警察官」は「詐欺集団の犯人宅を捜索したら、あなた名義のカードが出てきた。私たちはあなたも犯行に加担しているのではと疑っている」と言い、男性の名前と住所を告げて、合っているか確認を求めた。
男性は「すでに疑っていたので、回答を拒みました。ただ、地番まで正確な住所を言われたときは、内心怖くなった」と言う。
「警察官」は「あなたの身の潔白を証明する必要がある」「出頭しなさい」「協力を拒むと生活面で困ることになるよ」などと、男性の不安を増幅させる言葉を繰り返した。
捜査への協力を求め、「逮捕する」と不安をあおる手口だ。
「相手は20代後半の若い男。今思うと、あらかじめ用意したものを読み上げている感じ。北海道の地名を間違えるなど、慣れていないようだった」と男性は振り返った上で、「妻の指摘がなければ、まだ信用していた。一人暮らしのお年寄りだったら、だまされるかもしれない」と話した。
男性が「警察官」に名前や所属を聞いても答えず、やがて「警察官」が一方的に通話を打ち切って、会話は終了した。
通話時間は18分だった。
最終的には、「口座の現金を全て調べる必要がある」などとして指定口座に送金させるというのが、典型的な流れ。
最近では、SNSのビデオ通話で偽の警察手帳や逮捕状などを示して信用させる手口も出てきた。
道警函館方面本部生活安全課の捜査員は「相手を不安にさせるのは、正常な判断能力を奪うのが目的だ。被害防止の観点からは、電話に出ない、相手と話をしないのが大原則。電話に出てしまっても、一人で対応するのではなく、家族や知人と一緒に対応して」と呼びかけている。
参照元:Yahoo!ニュース