ドライブ中に子どもが「ぐずる」「大泣き」運転危なっ!対応策は「ポジティブ大作戦」どうやって?幼児教育の専門家が提案

子どもを撮影した写真

きのう(18日)関東甲信越地方も梅雨明けし、日本列島で本格的な夏シーズンが到来した。

家族で行楽地にドライブを予定している人、また猛暑により、買い物など日常生活でも「エアコンの効いた車」で移動する機会も増えるかと思う。

車を利用する「ファミリー世帯」で避けては通れない「悩み」。

それは、運転中に「子どもがぐずる」状況だ。

運転中に子どもが大泣きでもすると親は大慌て…、運転に集中できないと事故にもつながりかねない。

親子で、安全にドライブを楽しむ方法について、専門家に話を聞いた。

解説していただいたのは、環太平洋大学こども発達学科の楢嵜日佳特任教授だ。

まず、ドライブに出かける前の準備として、楢嵜さんは次の4つのポイントを上げている。

(1) 子どもに合わせた計画

(2) 出発前に、親子で楽しい時間を作る

(3) 車の中でも楽しい時間になるようなグッズや雰囲気

(4) こまめな休憩

楢嵜日佳 特任教授(環太平洋大学こども発達学科)「(1)の『子どもに合わせた計画を』になりますが、子どもは心も体もまだ未熟です。大人の行きたい場所、子どもを連れて行きたい場所はありますが、子どもは疲れやすく、集中力も短いです」

「子どもの発達段階や体調に応じたゆとりのある予定を立てましょう。子どもに合った時間、距離、行き先を考えたり、”変更可能なサブ計画”を立てておくこともお勧めです」

楢嵜日佳 特任教授(環太平洋大学こども発達学科)「子どもは好奇心が旺盛で、体を動かすことが大好きです。長時間、同じ姿勢でじっとしていることは子どもにとっては大きな負担になります」

「お勧めしたいのは、ドライブに出かける前に子どもの好きな遊びを一緒にするとか、親子で家の周りで少しかけっこするなどして、心を満足させたり気持ちを発散させたりしてから出発することです。親子での楽しい時間の始まりだと考え、試してみてください。」

「車の中も楽しい雰囲気を心掛けてください。好きなおもちゃを持ったり、子どもの好きな歌を一緒に一緒に歌ったりすることで、楽しい時間が続いていきます。特に気をつけてほしいのは大人の険悪な雰囲気です。楽しい雰囲気作りを心掛けてください」

「チャイルドシートは、命を守るために『体全体を包み込むような作り』になっています。窒息を防ぐために、少し硬めに作られているシートもあるようです。身動きができない状態でじっとしていると、背中や腰が痛くなることもあるでしょう」

「言葉で言えないけれど、心にも体にも負担がかかっています。大人の感覚よりも、早めに休憩を取ってください。外の景色を見たり体を動かしたりしてみてください。おやつを食べたりするのもいいですね。気持ちをリセットして、また気持ちよく出発してください」

楢嵜日佳 特任教授(環太平洋大学こども発達学科)「一度止まって体勢や心のリセットをしましょう。特に体温調整には気をつけてください。」

「車内で子どもはチャイルドシートに座っています。夏場に限らず、チャイルドシートから抱き上げると背中が汗びっしょりになっていたという経験はありませんか?子どもは、大人に比べて基礎代謝が高く、体温が高いのです」

「また、チャイルドシートは、子どもの命を守るため、体を包み込む構造になっています。エアコンの風で体の前面は適温でも、背中は汗をかいたり蒸れたりしていることがよくあります」

「チャイルドシートに長時間乗る時は、背中にタオルを挟んでおいて、汗をかいたらタオルを取り替えることもオススメです。一度シートから出て、少し動くと気持ちもリセットすることができます。」

もし、子どもが大泣きしたりぐずったりすると、運転中の親は子どもが気になり、運転に危険が及ぶ可能性がある。

高速道路や幹線道路でこのような状況になった場合、車を停止してもよいのだろうか?

(岡山県警察本部 定行宏樹 交通企画課次長)「高速道路は、原則として駐停車は禁止されており、一般道においても、道路標識などによる場合のほか、交差点内や坂の頂上付近など、駐停車が禁止される場所があり、こうした場所への駐停車等は交通の支障などに繋がり、交通事故を誘発する可能性もあります」

子どもが大泣きしりぐずったりした状況に陥った際も、ハンドルを握る親は落ち着いて運転に集中することが重要だとし、

〇高速道路では、本線上で停車せず、最寄りのサービスエリアやパーキングエリアに入り停車

〇一般道では、駐車や停車などが禁止されている場所を避け、安全な場所に停車

上記の対応を呼びかけています。

楢嵜日佳 特任教授(環太平洋大学こども発達学科)「子どもは経験値が少ないので、先の見通しが持ちにくいのです。」

例えば「次の橋を渡ったら海が見えてくるよ」「到着したらこんなことをしようね」など、

「少し先のことを想像し、期待感が持てるように声をかけてあげてください。楽しみが具体的にイメージできると安心することもあります」

楢嵜日佳 特任教授(環太平洋大学こども発達学科)「子どもが泣いたらイライラするのは当たり前と言う研究もあります。子どもの泣き声は高い周波数(約3000Hz〜6000Hz)で人の耳が最も敏感に反応する範囲です。子どもの泣き声を聞くと、脳波のパターンが他の音を聞いた時と比較しても大きく変化することが分かっています」

「子どもの泣き声により、『ストレスホルモン(コルチゾール)』が分泌され、イライラ感が引き起こされます。音の特性と心理的反応による当然の現象なのです。」

「でも!慌てず、優しい言葉を掛けてあげてください。『やめなさい!』『置いていくよ!』のような言葉は逆効果です。

『どうしたい?』『こうしてみようか?』など、泣きたい気持ちを受け止めたり代弁したりしてみてください。できることなら、早めに車を停車させ、心や体のリフレッシュをさせてあげましょう。」 

楢嵜日佳 特任教授(環太平洋大学こども発達学科)「子どもが小さい時のお出掛けは、計画通り、大人の希望通りに行けることはなかなかありません。そう思っておおらかに構えて、楽しみ方を変更してみましょう。過ぎてみれば、おもしろいネタになります」

「そんな気持ちでおおらかに受け止めましょう。大人の思いもありますが、子どもも意思をもった1人の人ですので、子どもの思いもぜひ尊重してあげてください」

楢嵜日佳 特任教授(環太平洋大学こども発達学科)「日頃から子どもの思いをポジティブに受け止めたり、子どものしたいことを親も一緒に楽しんだりできる関係性ができていると、子どもも大人の思いを受け止めたり、大人の期待に応えたいと思ったりするようになります。大人の姿は子どものモデルなのです。」

「逆に、日頃、大人の都合を優先していると、子どもは、自分の思いを聞いてもらえる場面を察して、「運転中に泣くと、自分の言うことを聞いてもらえる」といった学習している子どももいます。」

楢嵜日佳 特任教授(環太平洋大学こども発達学科)「今年の夏休みのドライブは、『子ども優先のゆとり計画』と『ポジティブな言葉』で楽しいお出掛けにしてください。車中では、泣いていない時に『元気でいてくれてありがとう。一緒に行けてうれしいよ』『泣かないでいてくれるから、安心して運転できるわ、ありがとう』といった声かけをしてみてください。」

「親も、子も、怒らず泣かず、楽しいドライブになってほしいと思います。車という狭く密閉された空間で険悪な雰囲気になると、せっかくの楽しいお出かけが台無しです。楽しい思い出ができるようチャレンジしてみてください。」

「日頃の生活の中でも、褒めたり褒められたり、ポジティブな言葉を掛け合ったりすることは、親にとっても子どもにとってもストレスを軽減し、心の健康を促進します。大人でも褒められると嬉しくなりますよね」

「ドライブ中はもちろん、ドライブ後も、親子でも、大人同士でも、お互いにねぎらいや感謝、幸せな気持ちを言葉にして伝え合ってみてください。ぜひ、楽しいお出掛けを!!」

参照元:Yahoo!ニュース