米関税、現状は影響限定 需要減など先行きに懸念 日銀支店長会議

日銀が10日に開いた支店長会議では、米国の関税政策について、現時点で総じて影響は限定的との報告が多かった。
ただ、関税の帰すうが見通せない中で、先行きについては米国における販売価格の引き上げや世界経済の減速に伴う需要減を懸念する声が多く報告された。
一部原材料の調達困難化の影響を指摘する報告も複数出された。
日銀が同日午後、支店長会議で出された報告事項を公表した。
輸出・生産への影響については、米関税に伴う駆け込み需要やその反動減、設備投資意欲の消極化を受けた資本財の受注下振れを指摘する報告もみられた。
設備投資については、不確実性の高まりを背景に投資の先送りや見直しを検討、実施する動きが見られるとの報告が出された。
もっとも、IT関連需要の拡大期待に基づく能力増強投資、人手不足対応や生産性向上のための省力化・デジタル化投資など、積極的な投資スタンスが維持されているとの報告もあった。
賃金設定面では、各国の通商政策の影響で企業収益が下振れた場合には今年度の冬季賞与を減額する可能性を指摘する企業の声が報告された。
来年度について、賃上げ実施への懸念の一方で人手不足感が強い企業を中心に継続的な賃上げが必要との声も報告された。
通商政策の影響以外については、これまでの輸入物価上昇に加え、仕入れコストや人件費、物流費の上昇等を受けた値上げの動きが見られるとの報告が多かった。
併せて発表した地域経済報告(さくらリポート)では、全国9地域すべての景気判断を据え置いた。
日銀担当者によると、地域経済報告に掲載された企業の声には7日にトランプ米大統領が発表した対日25%関税の影響は反映されていないという。
参照元:REUTERS(ロイター)