年金でホストクラブ、30年ぶりにプリクラ、年齢を偽ってマチアプ TikTokでバズる76歳白髪老女の正体「今が人生でいちばん楽しいかもしれない」

TikTokでバズりまくって、月に約400万円の収益を上げている76歳のおばあちゃんがいる。
いわゆる“天国界隈”のほっこり系ではなく、むしろ真逆。
若者の流行りを即座に取り入れた、白髪老女によるショート動画は、アップするたびに100万再生以上。
一体、何者なのか?
昨秋、若者文化に精通するおばあちゃんコンテンツがTikTokに誕生した。
その名前も『ずっと若くいたい』。
コンスタントにアップされるそのショート動画は、毎回多くの再生回数を記録し続けている。
記念すべき1発目『渋谷でメイク落としてみた』は、白髪マダムが渋谷の街で突然メイクをふき取り始め、シートマスクを付け、そして剥がす……
「え、なんで?」「どうして渋谷の街中で?」「しかもこんな上品そうなおばあちゃんが?」若者がやりそうな企画を果敢に挑戦した動画は290万回以上再生を記録。
以降『30年ぶりにプリクラ行ったらヘアメイクする場所があってマジ極楽』(再生回数1000万回以上)、『マチアプで年齢偽って若い男釣ってみた』(同800万回以上)、『ホストクラブの初回は国民年金だけで足りるのか』(同560万回以上)など、エッジの効いた企画で見た人を驚かせている。
このマダムはご丁寧に収支報告もしていて、今年1月は約248万円、4月は約391万円という稼ぎっぷりだ。
そんな白髪マダム・アキさん(76歳)は上品に笑いながら話し始めてくれた。
「私はね、ただのエキストラなんですよ(笑)。動画コンテンツ制作会社のオープンリーチさんの企画の出演依頼を受けて、撮影に参加しているんです」
TikTokアカウント『ずっと若くいたい』はリアルガチではなく、プロが企画し、演者が出演するれっきとした“作品”だったのだ。
彼女にその出演経緯を尋ねてみると、
「ずっと子育てをしながら、事務職として働いてきたのですが、65歳で定年退職を迎えました。今も週2くらいで仕事を続けているのですが、これから老後を迎える中、何か別のこともしてみたいと思ったんです。実は、ずっとテレビのエキストラの通行人をやってみたかったんですよ。自分がドラマに出たいというより、撮影の世界を覗いてみたい気持ちがあった。あるとき、バスの乗客役をやったら報酬としてノベルティのノートをいただいて。でも隣の方は同じ乗客役でも『僕は出演料がもらえるんだよ』と言っていたんです。どうせ出演するならお金がもらえた方がいいですよね?そこから本格的に登録先を探し、今のエキストラのキャスティング事務所に決めました」
昨秋、『ずっと若くいたい』の撮影に呼ばれ、好奇心で向かった渋谷で、言われるがままメイクを落とすことになったのだと愉快そうに話す。
顔出しするうえ、その要求は斬新。
抵抗はなかったのだろうか?
「全然ないですよ。だって、パックは貼ったら剥がすものでしょ?すっぴんをさらすこと?普段もすっぴんみたいなものだから(笑)」
自虐を交えながらもにこやかに話すアキさん。
撮影チームからは「嫌なことは嫌と言ってほしい」と言われているそうだが、
「嫌なことなんて、今まで1個もないの。自分が主役のような形で、セリフまであって。『私がこんな若者言葉を言ってもいいの?』なんて思いながら、楽しくやらせてもらってるんです。時々、セリフを忘れちゃうんだけど、孫のような世代の若いスタッフがいつもやさしく教えてくれて、ありがたい限りですよ」
もちろん出演料は支払われているが、動画が閲覧されるほどに報酬が増える……という契約ではないという。
「私にとっては金額よりも毎回、要求に応えることを楽しんでいるって感じかしら?無理したことは今まで一度もないし、フラットな気持ちでやれているから続けられているんだと思います」
バズっていることで、TikTokユーザーへの認知度もうなぎ上り。
「この間、小学生から『おばあちゃん!』って身体をタッチされましたね(笑)。バスの中でも女子中学生の2人組が私に手を振ってくれて。コンビニでは男の子2人組からスマホ画面を見せられ『これ、おばあさんですよね?』って言われたりもしましたね(笑)。この年齢になって街中で知らない人に声をかけてもらえるなんて思ってなかったの。知らない世界に足を踏み入れてみて、よかったなって思うんです」
そんなアキさんは5人の子どもを育て上げ、孫は9人。
現在は夫とともに、50代の娘夫婦&孫と同居しているという。
家族の反応が気になるところだが、
「私が『ずっと若くいたい』に出演し始めたのは昨秋からなんですが、つい先日、夫から『そんなことをやっているのか?』と初めて聞かれました。私は特に言ってなかったので(笑)。でも、娘の旦那さんが気づいちゃったみたい。夫や娘にとってTikTokの中の私は見たことがない妻・母だから。今、すごく動揺しているかも?(笑)」
とはいえ、“やめてほしい”と制止されることもないという。
「そう言ったところで、どうせ私が言うことを聞かないと夫も娘もわかっていますから(笑)」
今後、TikTokでどんなことをやっていきたいかと質問すると、意外な答えが。
「うーん。私はスマホは持っていますけど、自分の出演動画を含め、実はTikTokは見ないんですよね(笑)。だから“バズってる”って言われてもよくわからなくて…。そんなことより、若い子たちと一緒にやることは刺激をもらうし、新鮮だし。大げさに言うなら、今がいちばん楽しい(笑)」
名を売りたい、稼ぎたい、目立ちたい……。
TikTokrの多くが燃やす野望を、1ミリも持たないアキさんは“今”をいちばん楽しんでいた。
参照元:Yahoo!ニュース