うつ病をAI解析で数値化 診断補助ソフトを厚労省が薬事承認

国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府)などは30日、脳活動を捉えた画像を人工知能(AI)で解析し、うつ病の可能性を数値化して提示するソフトウエアが、プログラム医療機器として厚生労働省に薬事承認されたと発表した。
あくまで医師の診断補助が目的だが、これまで困難だった客観的な精神疾患の診断に役立つとしている。
うつ病は気分の落ち込みや不眠など、さまざまな症状が出る症候群。
脳回路の障害が原因と考えられているが、医師が主観的に症状を確認して診断している。
このため統合失調症や双極性障害など他の精神疾患との見分けが難しく、医師によって診断にばらつきがあった。
ATR脳情報通信総合研究所の川人光男所長らは、脳回路の状態からの診断を目指して2008~18年、うつ病患者944人、健常者2031人などの機能的磁気共鳴画像化装置(fMRI)のデータを収集。
データベースを作成して、うつ病患者に特徴的な脳の活動状態をAIに学習させた。
このAIを用いて診断したところ、約70%の確率で、患者か健常者かを判別できた。
うつ病診断の際には、他の脳の異常がないかを調べるためにMRIで画像を撮ることが多い。
その際に10分間追加してfMRIで撮影することで、負担をかけずに「うつ病度合い」を調べられるという。
このソフトウエアは3月5日に医療機器として、第1段階の承認を受けた。
26年春に臨床試験の結果を踏まえた第2段階の薬事申請をし、27年前半の保険適用を目指す。
研究チームは薬の効きやすさを調べたり、統合失調症や双極性障害など他の精神疾患を診断したりする手法も開発している。
30日に記者会見した川人所長は「他の診療科では検査をしてもらえるのに、精神疾患では検査をしてもらえないことを不満に思っていた患者にとって福音になる」と話した。
参照元:Yahoo!ニュース