関税の影響を評価するのは時期尚早 FRB金融政策報告書

米連邦準備理事会(FRB)は20日、議会に提出する金融政策報告書で、トランプ大統領が表明した関税の影響はまだ出始めたばかりとし、行動を起こす前に状況の明確化を待つことができるとした。
米国のインフレ率はやや上昇しており、労働市場は堅調であるとも指摘した。
FRBの報告書は「貿易政策が変化を続ける中、輸入関税引き上げが米消費者物価に及ぼす影響は非常に不透明で、消費者や企業の反応を評価するのはまだ時期尚早だ」と述べている。
その上で、「関税の影響は公式の消費者物価統計では直接観察できないが、今年の商品カテゴリー間の価格変動のパターンは、関税が最近の商品インフレの上昇に寄与した可能性があることを示唆している」と言及した。
例えば、家電製品や一部の消費者向け電子機器の価格は上昇している。
一方、自動車も関税引き上げの影響を受けているものの、これまでのところ自動車価格の上昇はそれほど大きくないと指摘している。
住宅サービス関連のインフレ率は高いが、家賃相場がパンデミック(世界的な大流行)以前の平均に向かうに連れて低下傾向にあると指摘。
旅行、飲食、その他の住宅関連以外のサービスのインフレ率は労働需要の軟化を反映して緩和していると述べた。
また、調査では家計が短期的にインフレ率の急上昇を予想していることが示されているものの、長期的なインフレ期待はFRBの2%目標と一致しているとした。
一方で、関税が家計と企業の景況感に重くのしかかっているとも指摘。
消費者支出は景況感指標が示唆するよりも堅調だが、家計のバランスシートは概ね通常の水準まで縮小しており、家計は「数年前に比べて悪影響への対応力が低下している」可能性を示唆しているという。
ただ、こうした不確実性にもかかわらず、金融システムは「耐性」を示しているとも述べ、FRBは「インフレと経済活動の見通しがより明確になるまで待ち、潜在的な経済動向にタイムリーに対応する態勢が整っている」とした。
報告書は、来週行われるパウエルFRB議長の議会証言を前に発表された。
参照元:REUTERS(ロイター)