球場看板直撃弾で「サイトが落ちちゃって…」 Xフォロワー8割増、群馬の会社の“中の人”が明かす大バズりの裏側

京セラドームの外観を撮影した写真

プロ野球選手がお立ち台で発した「おねだり」が企業を動かし、一大ムーブメントに発展する珍事があった。

群馬県に本社を置き、中古工作機械の販売や買取を行う「株式会社 小林機械」が京セラドームに出している広告を10日、オリックスの杉本裕太郎外野手が放った特大ホームランが直撃。

Xで話題になり、あっという間に杉本へ賞金100万円が贈られると決まった。

起こしたくても起こせない大バズりの裏で、同社Xの“中の人”はどう動いたのか。

「最初は、杉本さんという人が普通に機械を欲しがっているのかと思って……。何のことだか分からなかったんですよ」

突然訪れたビッグウェーブだった。

発端は10日に行われたオリックス―DeNA戦。

両軍無得点の5回に杉本が放った先制弾は、左翼5階席の下に出ている「機械 買取 販売 小林機械」の広告を直撃した。

配信のリプレー画面は、同社の社名が大写しになったところで一瞬止まった。

試合はナイターで、もちろん勤務終了後だった。

中の人はスマートフォンに、会社のXアカウントを登録している。

野球ファンから続々集まる反応に、最初は理解が追い付かなかった。

じきに特大弾が自社広告を直撃したと分かると、動画とともに「すごい!!!! 社長~~~どうしましょ~~」とつぶやいた。

これがさらにファンの反応を加速させた。

さらに、杉本もお立ち台で叫んだ。

「レフトポール際の小林機械さん、きょうホームラン直撃していっぱい映ると思うので。なんか下さい! 何か機械が欲しい。ハイテクな機械を」

群馬県の会社がなぜ大阪市の京セラドームに看板を出しているかといえば、リース業界最大手のオリックスと取引があるのに加え、代表取締役の小林良文氏が関西出身で、オリックスの前身・阪急ブレーブスのファンだったからという理由もあった。

中の人はXへの投稿と同時に、社長に杉本へのプレゼントを直談判。

「10分くらいで決まりましたね」という即断即決で、話は急展開した。

ナイター終了後の午後10時13分には「取り急ぎご報告です 何かしらプレゼントさせて頂くことになりました 社長は関西人なのでノリもピカイチです 杉本選手ありがとうございます、プレゼント少々お待ちください」と投稿。

ファンはさらに沸いた。

翌11日、中の人は現場に出る仕事があったため、Xで盛り上がったことによる社内の反応を直接目にすることはできなかった。

ただ「サイトが落ちちゃったりして……」と、業界を飛び出したことによる反応の大きさは十分に感じた。

12日には杉本へ100万円の贈呈が決まり、オリックスの試合前に「杉本選手には100万円を贈呈させて頂きます 弊社としては工作機械をと思ったのですが、次から小林機械の看板だけは当てるなとなりそうなので、やめました笑」とXに投稿。

フォロワーが1300人ほどだったアカウントは、一気に8割増の2300人ほどに急成長していた。

中の人は現在27歳の男性。

商品の出荷や入荷作業を担当しているが、昨秋に自ら手を上げてXの担当となった。

機械を売るにはどうしたらいいかと考えた末、これも一つの方法だと立候補した。

早速引いた大バズりを「私、けっこう運が強いほうなんです。その一つかもしれません」と振り返る一方で「当てたら(賞金を)毎回出すというわけじゃないです。毎回おねだりがあったら大変なことになってしまうので」と苦笑いだ。

ただ、スポーツの人をつなげる力は存分に感じた。

「今回見てくださった方の中にも、工場などで働いている人もいると思うんです。そういうところから、仕事につながるかもしれませんしね」。

実は中の人、オリックスの田嶋大樹投手と佐野日大高で1学年違いで、甲子園の全校応援にも参加している。

さらに「土曜日(21日)の試合を見に、神宮球場に行くんです。もうチケットも買いました」。

オリックスのファンが1人増えたのも間違いない。

これもまた、スポーツの力といえるだろう。

参照元:Yahoo!ニュース