新鮮でも油断禁物!高温多湿で細菌が増殖する“夏の食中毒” 予防に必要な三原則を専門家に聞いた

1年のうちで夏に最も発生件数が増える食中毒。
抵抗力の弱い高齢者や子供が感染すると合併症を引き起こし、死に至るケースもある。
専門家に、効果的な予防法を聞いた。
食中毒対策などを担当し食品衛生に詳しい、福井県健康福祉部の五十嵐映子さんに話を聞いた。
まず、食中毒の原因は「細菌やウイルス、自然毒がある。細菌は高温多湿を好むので、気温も高く湿度も高い夏は細菌が増えやすく食中毒が多い」と説明する。
食中毒の主な症状は腹痛、下痢、嘔吐だが「早いもので数時間から長いと10日くらい症状が出るものもある」という。
原因となる細菌は主に生肉などに付着していて、体内に入ると腸の中で増殖し炎症を起こす。
夏の食中毒を引き起こす細菌について五十嵐さんは「カンピロバクターによる食中毒が多い。
他には、腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌、ウェルシュ菌という食中毒も起こる」と説明する。
細菌による食中毒の原因で最も多いのが、カンピロバクター。
加熱していない肉やレバーを食べることで感染する。
原因となるのはニワトリが最も多く、ウシ、ブタなどの腸内にも生息している。
カンピロバクターは新鮮な鶏肉からも検出されているため、新鮮だからといって安全とは限らない。
感染すると、1000人に1人の割合で手足の麻痺や顔面麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合がある。
症状が表れたら悪化する前に、早めに医療機関を受診することが大切だ。
ウシの腸に生息しているのがO-157などの腸管出血性大腸菌。
わずか100個程度の菌でも感染し強力な毒素を出すため、抵抗力の弱い高齢者や子供が感染すると合併症を引き起こし、死に至るケースもある恐ろしい細菌だ。
また、サルモネラ菌は人や家畜などに広く分布していて、主に卵や鶏肉が原因で感染する。
食中毒はどのように予防すれば良いのか。
五十嵐さんが、3つのポイントを教えてくれた。
1.食材に細菌を「つけない」ために―
・調理前に手を洗い食材も丁寧に洗う。
・肉や魚を切った包丁やまな板はしっかり洗う。
気を付けたいのが食材を保管する場面。
「肉や魚を買い時間が経つと食材から汁が出る。それが生野菜などに付くと体に入ることもあるので、肉や野菜は袋などに入れて、他の食材につかないように注意することが大切」だという。
2.付着した細菌を「増やさない」ために―
・調理前の食材や調理後の食品を長時間室温で放置しない。
・調理後すぐに食べることができない場合は、冷蔵庫や冷凍庫で保存する。
五十嵐さんは、こんなひと手間も必要だという。
「冷凍と冷蔵を繰り返さないこと。細菌の増殖を抑えるため、小分けにして冷凍する方が安全」
3.食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」ために―
・肉や魚を調理するときはしっかり中まで火を通す。
・残った食品を温め直して食べるときも、十分加熱する。
「細菌は熱に弱いため、加熱を十分にすることが重要。目安としては、肉の中心温度が75度以上で1分以上加熱すること。鶏肉は中までしっかり白くなっていることを確認してほしい」
そして、食材を買い込む前にしておきたい対策が、冷蔵庫内の整理整頓だ。
冷蔵庫に物を詰めすぎると冷気の循環が妨げられるため温度管理が難しくなる。
10度以下で保管できるよう、庫内は適度に隙間を開けておくことが重要だ。
夏を迎える前に、冷蔵庫の整理整頓をしておくことが、食材を安全に保つために重要だ。
「つけない、増やさない、やっつける」という食中毒の三原則を守り、楽しい夏を過ごそう。
参照元:Yahoo!ニュース