データインフラ企業関連のM&A活発化、レガシーテック企業がAI対応で食指

トランプ米大統領による関税措置や地政学的な不透明感を背景に、M&A(企業合併・買収)は全体的に活動が鈍っている。
しかし、データインフラ関連業界は典型的な例外に当たる。
古い技術やシステムを使用し続けている「レガシーテック企業」、具体的にはメタやセールスフォース、サービスナウなどにとって、先進的な人工知能(AI)モデルを構築するために使われるデータの処理に従事する企業が今、オープンAIやグーグル、アンソロピックなどとの競争環境を早急に整備する上で喉から手が出るほど必要になっているからだ。
シティでソフトウエア分野投資銀行のグローバル共同責任者を務めるブライアン・マーシャル氏は「データのないAIは酸素のない生活と変わらない。だからデータは現在、AIにけん引される時代の寵児になっている」と指摘した。
ディールロジックがロイター向けにまとめたデータによると、今年1-5月に世界中で発表されたM&Aの総額1兆6700億ドルのうち、テック関連のディールは4210億ドルと約25%に達し、M&A市場で数少ない明るい要素となっている。
この比率は2023年の17%、昨年の約20%から上昇。
テック関連ディールの中では、AIソフトウエアメーカーがおよそ4分の3を占めた。
ゴールドマン・サックスのマネジングディレクター、マシュー・ルーカス氏は、ソフトウエア関連M&Aにおいては目下、AIに利用する企業データの分野が最も活発だと解説する。
クラウドでの企業のデータ管理を支援するソフトウエア企業は、買収の標的になり得る候補が急速に少なくなっているにも伴って、その価値が跳ね上がりつつある。
ルーカス氏は、こうした環境下で「善は急げ」とばかりM&Aに乗り出す動きが加速しているとの見方を示した。
複数の投資銀行関係者は、コンフルエントやコリブラ、シグマ・コンピューティング、マティリオン、データイク、ファイブトラン、ブーミといった企業データインフラ・分析を手がける企業が、当面はレガシーテック企業のM&A候補になる可能性があると予想した。
データイクのフロリアン・ドゥエットー創業者兼最高経営責任者(CEO)は「データの混乱と分断は企業が分析作業の変革の可能性を実現しようとする試みを長年損なってきた。効果的なAI導入が急務となっている今、その解決は不可欠であるばかりか死活的課題だ」と述べた。
実際、最近数週間でデータインフラ企業が絡む幾つかの巨額のディールが合意されるか、成立した。
メタは13日、データラベリングのスケールAIに148億ドルを出資し、株式の49%を取得することで合意。
セールスフォースは先月、データ管理のインフォマティカを80億ドルで買収する計画を発表した。
先月にはIT管理プロバイダーのサービスナウが、データカタログのデータ・ドット・ワールドの買収を進めていると明らかにした。
参照元:REUTERS(ロイター)