国連40機関以上を統廃合案、職員7000人規模削減検討 トランプ政権の拠出金削減で

国連が40機関以上を統廃合や機能再編の対象とし、7000人規模の国連事務局職員らの削減を検討していることが分かった。
国際協調に背を向けるトランプ米政権が国連への拠出金を削減したのを背景に、国連は異例となる大規模な組織改革を迫られた。
読売新聞が入手した内部資料などによると、平和維持や開発支援などの分野を中心に重複業務の解消や地域拠点の再編を行う。
1月のトランプ政権発足後、国連に対し「組織の見直しや予算削減を進めるよう圧力があった」(国連筋)という。
組織再編を巡っては、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国際移住機関(IOM)などを統合し、「国連人道対応・保護機関(仮称)」を新設する案を内部資料に明記した。
国連女性機関(UN Women)と国連人口基金(UNFPA)も統合し、女性と保健分野を担う組織を創設する案を盛り込んだ。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)を廃止し、世界保健機関(WHO)に吸収させる案も含まれる。
人員については、国連本部などで行政や政策の支援を担当する事務局職員ら約3万9000人の1割程度を減らす方向で検討している。
空席ポストを補充せず、短期契約職員の契約更新を見送るなどして段階的に削減を進める方針だ。
本部がある米ニューヨークやスイス・ジュネーブなど人件費の高い都市から、ケニアなどへの職員移転構想も盛り込まれた。
国連は一連の改革で7.4億ドル(約1100億円)程度の経費削減を見込んでいるが、加盟国の承認が必要となる。
先行して合理化を進めたWHOでは、一部地域で医療施設の閉鎖や救急医療の中断を迫られており、他の機関でも人道支援が停滞する恐れがある。
各国の利害が絡む上級職の廃止などを巡っては一部加盟国の反発は必至で、実現までには曲折が予想される。
国連の2025年度の通常予算は約37億ドルで、最大出資国の米国はこれまで年7.4億ドル程度負担してきた。
しかし、今年の分を含めて約15億ドルを滞納しており、国連の資金繰りは急速に悪化した。
参照元:Yahoo!ニュース