自公が「給付」に再びかじ、他に公約の目玉見当たらず 改選迎える議員「選挙戦う武器ない」

国会議事堂の外観を撮影した画像

夏の参院選を控え、自民、公明両党が物価高対策として「給付」に再びかじを切ったのは、他に公約の目玉が見当たらなかったことによる苦肉の策だ。

両党は給付額や対象などの調整を急ぎ、野党が主張する消費税減税に対抗する構えだ。

自民の松山政司参院幹事長は10日の記者会見で、現金などが想定される給付について「国民生活を下支えし、物価高に立ち向かっていく時に有効な手段だ」と語った。

公明の西田幹事長も同日の記者会見で「年内の給付が望ましい」と述べ、迅速に支給できる方法を検討する考えを示した。

与党内では、マイナンバーと預貯金口座をひもづけた「公金受取口座」を活用する案が出ている。

給付を巡っては、政府・与党内で4月に国民1人あたり現金3万~5万円程度を配る案が浮上したが、世論などからバラマキ批判が強まり、断念した。

自民執行部は、参院自民内で実施を求める声が強まった消費税減税にも否定的で、改選を迎える参院議員を中心に「選挙を戦う武器がない」との危機感が高まっていた。

選択肢として消えたかに見えた給付への回帰は、森山幹事長や木原誠二選挙対策委員長らが主導した。

財源として目を付けたのが、2024年度の税収の上振れ分だった。

1回限りの給付を「税収の還元」名目で行えば、恒久財源は必要ではなく、バラマキ批判をかわせるとの計算がある。

すでに参院選公約に給付の実施を明記した公明にとっても、自民の方針転換は渡りに船だった。

消費税減税を巡っては両党の温度差が目立ったが、給付では足並みがそろうことになった。

西田氏は記者会見で「自公で認識が一致した。政調会長間でしっかり検討していく」と一体感を強調した。

参照元:Yahoo!ニュース