柏崎刈羽原発6号機、東京電力はまたも地元同意を得る前に燃料装てん 異例の手順に再稼動へのプレッシャーとの推測も

東京電力の本社の外観を撮影した画像

東京電力柏崎刈羽原発6号機への核燃料の装てん作業が10日に始まった。

再稼働に向けた最終段階の検査を行うためだが、地元自治体が再稼働に同意する前に燃料を装てんするのは、全国的には異例の手順だ。

東電は「機器の健全性を確認する重要なステップ」と位置づけるが、燃料装てんはその後の自治体への交付金に影響する側面もある。

装てん後、一定期間を経過しても再稼働しない場合は、交付金が減じられる仕組みがあり、暗に地元に同意を迫るプレッシャーでは、といぶかる見方もある。

2011年3月に起きた東電福島第1原発事故以降に、全国で再稼働したのは8原発14基。

燃料装てんと地元同意の「順序」の明確なルールはないものの、東電以外の電力会社はいずれも、地元から再稼働の同意を得た後に装てんをしている。

柏崎刈羽では以前から状況が異なる。

02年に発覚したトラブル隠しや、07年の中越沖地震を受けた全基停止後に再稼働した際も、まだ地元が再稼働に同意する前に装てんを始めている。

昨年4月の7号機もこの手順だった。

東電はこれまでの会見で、理由を「原子炉に入れた状態で初めて健全性が確認できるものが多々ある」などと説明。

装てん後の安全性のリスクは、燃料を保管している間のリスクと大きな差はないとする。

一方で、燃料装てんの時期は、自治体の財政に直接影響する側面もある。

県産業立地課によると、立地自治体などに国が配る「電源立地地域対策交付金」は、原発が施設の安全性確保による場合などで運転停止していた期間は、特例措置として、稼働していたものとみなすことにしている。

16年以降は、7号機分の「みなし稼働率」を6割程度とした額が支払われてきた。

しかし、政府はこのタイミングで仕組みを変更。

国が再稼働しても問題ないと判断してから9カ月たっても原発が稼働しない場合は、交付金を大幅に減額するようにした。

経済産業省資源エネルギー庁電力基盤整備課は、変更の理由を「電力の安定供給のため、既に再稼働している所にメリットがある形にした」と説明。

再稼働を促す目的を隠さない。

柏崎刈羽7号機の場合は、燃料装てんを始めた昨年4月15日を起点に、再稼働しない期間が9カ月以上経過したため、みなし稼働率の適用外となり、交付金は26年度分から大きく減る。

県は、柏崎市など5市町村と合わせ、最大約7億4200万円減ると試算。

柏崎市は、市の減額分を最大2億円と試算した。

県は6号機についても、9カ月後の来年3月までに再稼働しなければ、27年度分の交付金で、7号機のケースと同じ額が減少する可能性があるとみている。

参照元:Yahoo!ニュース