フィリピン議会上院、副大統領の弾劾訴追案を下院に差し戻し

フィリピンの国旗を撮影した画像

フィリピンの議会上院は10日、下院が決議していたサラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾訴追案を差し戻した。

これを受けて、下院が再び審議することになる。

ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の長女であるドゥテルテ氏は次期大統領選候補になるとの見方があり、弾劾手続きの行方は今後の政治生命を左右する可能性がある。

一方、ドゥテルテ氏と対立しているマルコス大統領の政策アジェンダと、後継者選びにも影響を与えそうだ。

フィリピンの政権は原則として1期6年に制限されているため、マルコス氏はドゥテルテ氏が無罪となった場合には大統領選で破ることができる後継者を育て、影響力を保持することを狙うとみられている。

下院への差し戻し動議を提出したドゥテルテ派のアラン・ピーター・カエタノ上院議員は「私たちは政治的に中立であることを誓ったはずだ」と語った。

下院は今年2月、ドゥテルテ氏の不正支出と異常な蓄財、自分が殺された場合にはマルコス夫妻らを殺害するための殺し屋を雇ったとの発言などを問題視し、国民の信頼を裏切ったとして弾劾訴追案を決議した。

ドゥテルテ氏はいずれの疑惑も否定している。

同氏の事務所は10日夜に「告発に根拠がないことを明らかにする」用意があるとし、「弾劾の手続きは政治的敵対者への嫌がらせ、口封じ、排除のための武器に利用されてはならない」との声明を出した。

大統領府は、上院の動きに対するコメント要請にすぐには応じなかった。

ドゥテルテ氏の弾劾手続きはマルコス氏の盟友の議員が始めたにもかかわらず、マルコス氏は一連の手続きとは距離を置いている。

ドゥテルテ氏はフィリピンで弾劾された5人目の高官となったが、これまでに有罪判決を受けたのは元最高裁長官のレナート・コロナ氏だけだ。

参照元:REUTERS(ロイター)