「多分まずい」危険プレーのオリ選手”実家”に荒らし殺到、これって違法?

プロ野球セ・パ交流戦、阪神とオリックスの「関西ダービー」であったプレーが、グラウンド外まで波紋を広げている。
ことの発端は、甲子園で6月6日におこなわれた試合だ。
両チーム無得点で迎えた9回表のオリックスの攻撃で、一塁走者の廣岡大志選手が二塁ベース付近でスライディングしたところ、ダブルプレーを狙う内野手と接触した。
廣岡選手は守備妨害を宣告され、ダブルプレーが成立。
さらに、危険なスライディングとみなされ警告を受けた。
その直前の打席で、廣岡選手は相手投手の頭部を強襲する打球を放っていたこともあり、球場は一時騒然となった。
すると、その日から、廣岡選手の実家である「広岡精肉店」のGoogleマップの口コミに多数の低評価が書き込まれるようになった。
記者が確認したところ、最低評価の星1つが試合翌日の6月7日だけで53件も確認できた。
さらに「息子さんの人間性を見る限り多分不味いです」「野球ってこと知らなそう」など、店そのものの評価とは関係ない「荒らし」のようなコメントも複数あった。
中には星4つの高評価をしながらも「廣岡選手の悪質スライディングのような切れ味鋭い味で美味しかった」など廣岡選手のプレーを揶揄するものもあった。
このように低評価したり、口コミすることに法的な問題はないのだろうか。
インターネットのトラブルにくわしい日向一仁弁護士に聞いた。
──店そのものの評価と関係ない口コミが相次ぎました。
Googleマップの口コミは、店の評価をするためのものです。
選手本人の実家とはいえ、そのプレーに対する評価と店に対する評価はまったく異なります。
このような口コミは、選手や店に対する嫌がらせが目的だと考えられますので、悪質だと言えるでしょう。
──このような行為に違法性はありますか。
口コミの具体的な内容次第ですが、まず民事上、違法な行為と評価されて損害賠償や慰謝料の責任を負うことがあります。
誹謗中傷が悪質な場合には、名誉毀損罪や侮辱罪、偽計業務妨害罪など、刑法上の犯罪になる可能性もあるでしょう。
また、これとは別に、Googleが定めているコンテンツポリシーに違反したとして削除対象になる可能性があります。
──この試合以降、低評価が急増しました。
そもそも口コミは、店での実体験に基づく必要があります。
嫌がらせ目的で低評価をつけるようにSNSで呼び掛けたりすれば、業務妨害などとして不法行為になる可能性があります。
低評価だけでコメントがなければ、名誉毀損の問題は発生しにくいですが、実際に店に行ったことがないにもかかわらず、嫌がらせやいたずら目的で低評価をつけることは、Googleのコンテンツポリシーに違反する可能性があります。
──SNS上では、実際に店に行って味を絶賛するなど、評価を回復するような投稿も見られます。
実際に店に行った人が、その実体験に基づいて評価すること自体は問題ありません。
問題となるような口コミがある場合は、Googleマップなど、サイトを運営する事業者に報告して削除してもらうのが本来の手段です。
一般論として、口コミやSNSへの投稿を参考にする際には、そのまま信用するのではなく、虚偽の口コミもありうる、という前提で利用したほうがよいでしょう。
参照元:Yahoo!ニュース