トランプ政権、LA抗議デモ対応で海兵700人派遣 知事反発強める

トランプ米政権はロサンゼルスで続く抗議デモへの対応として、海兵隊員約700人を州兵の支援に派遣する方針だ。
事情に詳しい関係者が明らかにしたもので、カリフォルニア州知事らは現役兵士の配備が事態を一段と緊迫化させると反発している。
国防総省当局者によると、派遣されるのはカリフォルニア州トゥエンティナイン・パームズにある海兵隊航空地上戦闘センターを拠点とする海兵隊員で、週末に通知を受けてすでに移動を開始しているという。
この海兵隊員派遣については、CNNが先に報じていた。
不法移民摘発への抗議デモに対し、トランプ政権は現役海兵隊員を派遣することで、対応をエスカレートさせている。カ
リフォルニア州のニューサム知事はヘグセス国防長官が海兵隊の動員に言及したことについて、「常軌を逸した言動だ」と非難していた。
米国の法律では海兵隊を含む現役の連邦軍による国内の法執行活動は原則として禁じられている。
ただ、州の指揮下にある州兵については、この規制の対象外となる。
トランプ氏は8日、米北方軍にカリフォルニア州兵の指揮権を付与し、現地に少なくとも2000人を派遣するよう命じる大統領令に署名。
同大統領令でヘグセス長官は「必要に応じて、他の正規の連邦軍を投入することができる」との権限も付与された。
カリフォルニア州は、トランプ氏が移民取り締まりに対する抗議デモを鎮圧するために州兵および海兵隊を動員したのは「違法」だとして、カリフォルニア州北部地区連邦地裁に差し止めを求めて提訴した。
一方、トランプ大統領は抗議デモへの対応を巡り、ニューサム知事は逮捕されるべきだとの見解を示唆した。
一方、ニューサム知事は9日、X(旧ツイッター)への投稿で、海兵隊員の派遣は「米国的ではない」と非難。
さらに、トランプ氏が追加で州兵2000人をロサンゼルスに配置する意向だとを伝えられたと明かした。
カリフォルニア州のボンタ司法長官は記者会見で「大統領がその権限を乱用し、カリフォルニア州兵を違法に動員することを、われわれは軽く受け止めてはいない」と述べた。
ロサンゼルスの秩序回復の責任を巡り、ニューサム知事とトランプ大統領は非難の応酬を続けている。
トランプ氏はこの日、ニューサム氏とホワイトハウスの国境政策責任者トム・ホーマン氏との間で繰り広げられた言葉の応酬について記者団から質問を受けた。
ホーマン氏は、移民取り締りの妨害行為を行った者については、たとえニューサム知事やロサンゼルス市のバス市長であっても逮捕の可能性があるとの認識を示していた。
ホーマン氏は、州知事も市長もまだ「一線は越えていない」と語ったが、これに対してニューサム氏はNBCニュースのインタビューで「脅しをやめて行動に移せばいい。私を逮捕するというならやってみるがいい」と反応した。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「私がトムだったらそうする。素晴らしいことだと思う」と発言。
「私はギャビン・ニューサムが好きだし、彼は良い人間だと思うが、極めて無能だというのは誰もが知っていることだ」と述べた。
これに対し、ボンタ司法長官は9日の会見で、「この法文はめったに使われないが、規定は明確だ。第一に『反乱』が必要だが、そんなものは起きていない。第二に『侵略』が必要だが、それもない。第三に、『通常の部隊で米国の法律を執行できない』場合だが、それにも該当しない」と述べ、大統領の措置の違法性を強調した。
デモ参加者が主要道路を封鎖した後、ロサンゼルス市中心部を含む複数の地域では略奪行為が相次いだ。
ロサンゼルス市警の9日発表によると、略奪や警官への攻撃、火炎瓶を使用した殺人未遂容疑などで7日と8日に計31人が逮捕された。
一連の混乱では企業活動にも影響が及んだ。
地元放送局KTLAによると、アルファベット傘下の自動運転サービス部門ウェイモの車両少なくとも5台が放火された。
同社は9日、ロサンゼルス市中心部から全車両を撤収し、同地域での運行を一時停止すると発表した。
ニューサム知事とバス市長は、トランプ政権が州兵を派遣したことで状況を悪化させたと批判している。
ニューサム氏は9日、Xへの投稿で「トランプ氏は事態をあおり、違法に州兵を連邦化した」と主張。
どの州にも同様の措置が取られる恐れがあるとし、連邦政府を提訴する方針を示していた。
トランプ氏は9日の投稿で「カリフォルニア州で起きた暴力的な扇動による暴動に対応するため、州兵を派遣したのは極めて正しい判断だった」と主張。
「もし派遣していなければ、ロサンゼルスは完全に壊滅していた」と述べた。
参照元:Yahoo!ニュース