無償化で私立高の人気上昇、公立高の魅力向上へグランドデザイン 国際化やデジタル推進

文部科学省は高校教育の改革計画を新たに策定する方針を固めた。
高校授業料無償化で私立校の人気が高まるなか、政府主導で公立校の再編や教育環境の整備を進め、魅力向上を図って公立校離れを防ぐ。
同省は年度内の改革計画とりまとめを目指す。
文科省がまとめる改革計画は、「高校教育改革に関するグランドデザイン(仮称)」。
高校授業料の実質無償化に続く改革策に位置づけ、「地域に密着した教育を行い、生徒に選ばれる学校になることが重要だ」との考えを打ち出す。
具体策として、少子化を踏まえ、公立校の配置や規模の適正化を進めて再編を図り、地域の中心となる拠点校の強化を進める。
自治体向けに自由度の高い「高校教育改革交付金(仮称)」を新設し、教育現場のデジタル化やグローバル化を促す。
個人支援策として、教科書代や修学旅行代に充てられる低中所得層への奨学給付金の拡充も図る。
高校の魅力や特色向上につながる取り組みを「高校改革推進事業」と位置づけ、交付金で支援する。
教員拡充などによって指導体制の充実を図るほか、各学校の情報公開促進や学校間の連携強化に結びつける。
農業高や工業高などの専門高校への支援も手厚くする。
各都道府県に改革計画に基づいた実行計画を作成してもらう。
高校教育は自治体の裁量が大きく、「都道府県任せになっている」との指摘があった。
政府が主体的に改革策をまとめて、自治体だけでは取り組みにくい公立校の再編などを主導していく。
高校教育を巡っては、自民、公明、日本維新の会の3党は2月、私立校も含む高校授業料の無償化について合意した。
公立校は今年度から、私立校は来年度から無償化されるが、無償化を先行的に実施した大阪府では定員割れなどの「公立校離れ」が進んでおり、3党の実務者は今月、公立校について「人口減少社会の中でも、地理的アクセスの確保と規模の適正化が必要」との認識で一致した。
政府は、1人1校を受験する単願制が主流の公立高校入試について、併願制を導入して受験しやすくする仕組みも検討しており、新たな改革計画の策定で公立校離れにさらに歯止めをかけたい考えだ。
参照元:Yahoo!ニュース