球技大会にeスポーツを導入!!『ゲーム好きが学校の主役に』 工業高校で”多様な才能”を認める新時代の学校行事 約8割「また参加したい」 愛知・豊川市

テレビゲームのコントローラーを撮影した画像

5月28日、愛知県豊川市にある県立豊川工科高校で、毎年恒例の球技大会が開催されていた。

しかし、大きな歓声が上がっていたのは、なぜか教室。

ゲームのコントローラーを握りしめた生徒を、多くのギャラリーが固唾を呑んで見守っている。

実は、この学校では今年から球技大会にeスポーツを取り入れた。

文部科学省によると、eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。

全世界における市場規模は2018年時点で約1000億円。

2026年に愛知・名古屋で開催される第20回アジア競技大会でも、正式競技に決定している。

運動が苦手でも、ゲームの世界では輝ける。

県内の公立高校としては珍しい、多様な才能が認められる新時代の学校行事がスタートした。

運動が苦手な生徒たちが活躍できる場を作りたい。

そんな思いから始まった豊川工科高校のeスポーツ導入。

球技大会や体育大会などは、運動が得意な生徒にとっては楽しみな学校行事だが、運動が苦手な生徒は肩身の狭い思いをすることも。

さらに、コロナ禍を経てある課題が見えてきたことも一つのきっかけになったと、発案者である中川恵輔先生は話す。

生徒会主任 中川恵輔先生:「コロナ禍以降、運動能力が低い生徒の割合が増えてきたんです。一方で、ゲームが得意だったり、ゲーム実況をよく見ている生徒は多い。そういう子たちが輝ける機会を作れないかと考えました」

当初は「学校でゲームなんて…」という否定的な反応が返ってくるのではないか予想していた中川先生だったが、校長先生からは意外にも「やろうよ」と前向きな返事。

生徒会のメンバーも「まさか学校でゲームができるなんて!」と大喜びで、ルール作りやゲームの選定など、原案作りに積極的に参加したという。

その後、生徒たちはもちろん教員や保護者からも賛同を得られたため、昨年12月ごろから実現に向けて動き出した。

eスポーツに必要な機材は生徒会の予算で購入することに。

モニター10台、Nintendo Switchを2台、PlayStation4を1台、コード類や分配器などの小物も合わせると、初期投資としてかかったのは約30万円。

高価なゲーム機などは中古品を購入したが、格闘ゲームで使用するアーケードコントローラは、ゲームに詳しい教員からアドバイスをもらい、新品で揃えたという。

ゲームタイトルの選定には、いくつかクリアしなければいけない条件があった。

学校のネットワーク環境を考慮し「オフラインでプレイ可能なもの」。

予算の都合から1人1台ゲーム機を用意することは難しいので「1台の本体で複数人が遊べるもの」。

多くの生徒が楽しめる「とっつきやすいもの」だ。

メーカーから球技大会での使用許可を得られた6種類のゲームの中から、生徒に投票を実施し「大乱闘スマッシュブラザーズ」「マリオカート」「ストリートファイター」の3タイトルが選ばれた。

中川先生によると、球技大会ということにこだわらず、とにかく生徒が楽しめるゲームであることを最優先したという。

球技大会はeスポーツだけではなく、従来の種目であるソフトバレーボールとボッチャも実施。

約600人の生徒のうち約250人がeスポーツの部、約350人がスポーツの部に参加した。

初めての試みとあって思わぬトラブルも発生。

eスポーツ用の観戦スペースを設ける予定だったが、大会当日の朝になって、配線の問題でプロジェクターが設置できないことが判明した。

それでもなんとか競技をスタートすると、eスポーツの会場となった教室には多くのギャラリーが詰めかけた。

特に「大乱闘スマッシュブラザーズ」の会場は、廊下や教室の後方に観客が溢れるほどの熱狂ぶりに!

普段はおとなしい生徒が、大きな声を上げてハイタッチしたり、華麗なテクニックで相手を打ち負かしたりする場面も。

その変化に、中川先生も感慨深げだった。

生徒会主任 中川恵輔先生:「今までの球技大会では活躍する機会があまりなかったような生徒たちが、みんなの注目を浴びて、みんなの歓声の中心にいるっていうのは、去年までは全くなかった光景でしたね」

大会後に生徒に実施したアンケートでは、「eスポーツの部があって良かった」と回答した生徒が83%、「次年度もeスポーツ種目があったらぜひ出たい」と回答した生徒が78%という結果に。

また、昨年度の球技大会との比較では、65%が「昨年度より良かった」と評価している。

「eスポーツの種目を増やしてほしい」「卒業前にまたやりたいです、来年以降の学年が羨ましくて仕方がない」「運動が苦手な人でも楽しめるeスポーツがあってとてもよかった」といった感想も多く寄せられた。

来年度以降もeスポーツを実施するかどうかは、教員や保護者からの意見も集約したうえで検討するとしながらも、中川先生はすでにアイデアを膨らませていた。

生徒会主任 中川恵輔先生:「うちの学校は自動車メーカーや自動車部品を卸す会社に就職する生徒が多いので、『グランツーリスモ』という車のレースのゲームで、就職先のメーカーの車種だけでレースをやったら面白いかな」

生徒たちの高い満足度をみても、来年度以降も進化した形で開催され、豊川工科高校の特色の一つとしてeスポーツが定着していくかもしれない。

参照元:Yahoo!ニュース