内閣不信任案の行方は 終盤国会で焦点、与野党の神経戦が激化

国会の会期末が迫る中、野党が内閣不信任決議案を提出するかどうかが焦点となっている。
自民、公明両党は衆院で少数与党のため、野党が結束すれば不信任案は可決される。
その場合、憲法上の規定で、石破茂首相は10日以内に内閣総辞職か衆院解散の選択を迫られる。
首相が解散を選べば、7月の参院選に合わせた衆参同日選となる可能性がある。
「しっかりと決断していただきたい。弱腰に見られては困る」
5月中旬、立憲民主党執行部と衆院1期生らの懇親会が都内で開かれた。
酒を酌み交わしながらの和やかな会合だったが、終わり際のあいさつで1期生の一人が不信任案提出を迫ると、野田佳彦代表は顔をしかめて「いろいろ考えている」と答えた。
1期生数人はこの前後に小川淳也幹事長とも面会し、「不信任案を提出してほしい」と要望した。
小川氏からは「出す一択しかない」との言葉を引き出した。
立憲は年金制度改革法案を巡り、自公と修正合意し、13日の成立を目指して参院で審議が続く。
立憲中堅は「不信任案を提出しにくくなったことは事実だ。片方で握手し、もう片方で不信任案を突きつけるのは矛盾していると批判されかねない」と話す。
だが、野田氏が「適時、適切に、総合的に判断したい」と繰り返し、参院選を前に政権との対決姿勢を示さないことに、党内から主戦論が噴出している。
これに対し政権幹部は「出してくればすぐ解散する。それを分かっていて出せるのか」と周辺に語り、立憲が不信任案を提出すれば石破首相が「即解散」に踏み切る可能性を強調した。
首相は解散に前向きな考えを周辺に伝えている。
提出させないよう野党をけん制したとの見方もあるが、与野党の神経戦が激化している。
不信任案提出で野党が対決姿勢をアピールするのは、これまでの終盤国会で恒例の風景だった。
しかし、少数与党の下では意味と重みが全く異なる。
野党が権力の一端を手にする中、通常国会は22日に会期末を迎える。
「主戦論」の行方は――。
参照元:Yahoo!ニュース