「子供の名義で注文も…」 約5万台売れたスズキ「ジムニーノマド」増産へ 「異例の爆売れ」背景は？いつ買える？
スズキが「ジムニーノマド」（以下ノマド）の増産を明らかにした。
発表からわずか4日で「注文止めます！」とアナウンスするほど人気が殺到したノマド。
今後はどうなるのだろうか。
最近の国産車市場では、あまりに売れすぎて生産が追いつかないモデルがある。
そのひとつにスズキ「ジムニーノマド」が挙げられる。
ノマドは2025年1月30日に日本で正式デビュー（4月3日発売）したが、2月3日には『約5万台の注文が入った』ことを理由に受注の一時停止がメーカーより発表された。
巷には“注文順が後だった場合は5年待ちか?!”という噂も流れ、ユーザーを落胆させていた。
しかし、同年5月30日にスズキは、ついにノマドの増産開始を発表。
リリースによれば、ノマドの製造を担当しているマルチ・スズキ・インディア社での生産台数を2025年7月より月間約3300台（日本割当分）にするという。
スズキは2025年5月12日に『2025年3月期決算説明会』に開催。
その中で取締役専務・岡島有孝氏が「早期に受注を再開できるよう全社を挙げて取り組んでまいります」と説明したばかりだった。
2025年3月には一部で「月1200台から2500台に増産する見込み」という報道があったが、実際はこれを大幅に上回る3倍近くの生産数に達することとなる。
今回日本においてノマドが長納期状態に陥ったことについては、いくつかの要因が考えられる。
筆頭に挙がるのは、他のアジア諸国や中東、南米などで2年も先にデビューしてしまったこと。
すでに「ジムニーシエラ」を注文していたユーザーは5ドアモデルの存在やそのおおよその性能を知ることができ、購入検討の十分な時間があったわけだ。
あるディーラーの営業スタッフによれば、初回生産分でノマドを注文した人の2割以上はすでにシエラを発注していた人だったといい、ディーラーの営業スタッフは次のように話している。
「2024年12月からシエラを注文したお客様に対してノマドの国内発売をお知らせすると共に、ノマドへの注文変更を受け付けました。この対策としてスズキは約8000台の事前枠を取っていると聞きましたが、年明け早々にはその台数をはるかに超えていました」
正式発表は2025年1月30日だったが、実際はそれよりも1か月も早く受注が始まっていたことになる。
さらに、数日間で約5万台という爆発的な注文数になってしまった要因の中には、転売ヤーの存在がある。
かつてジムニーシリーズがデビューした時、その長納期状態が影響して新古車や中古車が高騰したことに目を付けた転売ヤーが、“架空”の注文を入れたわけだ。
筆者が取材した中には、「運転ができない子どもの名義まで使って家族ぐるみで発注した…」というケースもあった。
注文する際には、誓約書への署名や書類の提出を依頼していたようだが、それが転売目的かどうかを判別する時間が足りなかったと現場のスタッフは言う。
現在、販売店ではそうした悪質なケースの洗い出し作業を行っており、これにより架空の受注がかなり減っているということだった。
ちなみに、現状でのノマドの納期はどのようになっているのだろうか。
とあるディーラーに問い合わせてみた。
現在この店舗では、30人からノマドの注文を受け付けたそうだが、メーカーから提示されている30人目の納車予定日はおおよそ1年から1年半後という意外なもの。
「もちろんそこまで待てないというお客様もいると思いますので、シエラ同様にキャンセルが出ることは十分に考えられます。その時は、さらに現在の注文分の納車が早まる可能性もあります」（営業スタッフ）
1年から1年半という期間はあくまでも端末上の目安と営業スタッフはいうが、今回生産台数が増加されたことによって、納期が大幅に短縮されることは間違いない。
5月30日の時点では販売店にメーカーからの納期に対するアナウンスはないとのことだが、早ければ来年早々には受注が再開される可能性が見えてきた。
ちなみにシエラの納期は、ノマドへの“乗り替え組”が出たため3か月から半年と大幅に短縮（ジムニーは約1年）。
これが功を奏したのか、2025年は順調に登録台数を増やしている。
一方で、スズキはジムニーの欧州向けの生産を2024年で終了しており、これも一要因となって欧州市場の業績が低迷していると言われている。
同地でのジムニー再販は排ガス規制強化からメドが立っておらず、「欧州向けの生産ラインが空いたなら、国内のシエラ、ノマド用に回したら？」という声がネット上に出ていた。
実際にそのラインを使うかは定かではないが、これで日本の需要がさらに伸びることは間違いなさそうだ。
すでにアフターパーツマーケットにはノマド専用品の流通が始まっており、シエラの流通拡大と共に、今回のノマド増産のニュースはジムニー業界全体を活気づかせてくれそうだ。
参照元：Yahoo!ニュース
