25年の世界スマホ出荷台数、0.6%増に下方修正 IDC

調査会社インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)は29日、2025年のスマートフォンの世界出荷台数が前年比0.6%増になるとの予測を示した。
伸び率を従来予想の2.3%から下方修正した。
トランプ米大統領による関税強化が経済不安と個人消費を後退させているためと説明した。
アップルなどのスマホメーカーは、既に地政学的緊張の高まりと関税による対立に直面して売り上げが低迷している。
国別では中国が3%増となり、中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)などが採用している基本ソフト(OS)「アンドロイド」の端末を優遇した政府の補助金が押し上げる見通し。
一方、多くのモデルが補助金の対象外となっている米アップルは中国で1.9%減るとみられる。
ただ、電子商取引大手JDドット・コム(京東商城)が創設日の6月18日にちなんで実施している大型ネット通販セール「618」での割引や、25年の発売が予想されている新製品「iPhone17」が需要を喚起するとの期待感も出ている。
IDCは世界全体で24―29年の5年間の年間平均成長率が1.4%にとどまると予想。
スマートフォンの普及率の上昇や更新サイクルの長期化、中古端末との市場の奪い合いが足を引っ張る。
米中貿易摩擦の激化を受けてアップルはインドとベトナムでの生産を拡大し、中国への依存度の低減を図っている。
これに対し、トランプ米大統領は米国外製iPhoneを輸入して販売する場合、25%の輸入関税を課すと表明した。
IDCのシニアリサーチディレクター、ナビラ・ポパル氏は「逆風にもかかわらず、インドとベトナムはスマホ生産で中国に代わる重要な選択肢であり続けると予想される。しかし、米国に輸入されるスマホへの20―30%の追加関税は、現在の米国市場の見通しに深刻な下振れリスクをもたらす可能性がある」とコメントした。
参照元:REUTERS(ロイター)