車ない高齢者、遠い窓口 能登21郵便局 休止続く 安全な代替施設の確保難航

能登半島地震や奥能登豪雨の影響で、石川県内で能登を中心に郵便局21カ所の休止が続いている。
一時的に、車両型で応急施設を置くなどの動きはあるものの、本格復旧の時期は見通せないのが現状だ。
郵便を出したり、お金を下ろしたりするため、数キロ離れた集落や中心部に出向く住民もみられ、「不便だ」「車のない高齢者にはつらい」などと嘆き節が漏れている。
日本郵便によると、5月29日現在、輪島市と珠洲市が各5カ所、七尾市と志賀町が各3カ所、能登町が2カ所、羽咋市と内灘町、穴水町が各1カ所で休止している。
日本郵便のホームページによると、地震などの被害が大きかった奥能登4市町には少なくとも郵便局が53カ所ある。
4市町の休止は計13カ所で、おおよそ4カ所に1カ所は使えない。
長引く休止について日本郵便の担当者は、建物が大きく壊れたことに加え、郵便物や現金を取り扱うことから、代替施設の確保が難しいと指摘。
「一時的な閉鎖であり、早期に復旧するよう取り組んでいく」と話した。
輪島市門前町の浦上公民館は29日までに、休止が続く郵便局に代わって、はがきや封筒以外の郵便物を預かる業務を始めた。
浦上郵便局は一時、ATMを積み込んだ車両が公民館に派遣されていたが、昨秋でいったん終了した。
住民はお金を引き出したり、小包を出したりするため、約4キロ離れた門前郵便局に足を運んでいた。
このため、地域住民の働き掛けで、公民館で荷物を受け取れるよう輪島郵便局と調整を進めていた。
孫へプレゼントを郵送した浦上総区長で公民館長の喜田充さん(76)は「歩いて行けるのはありがたい」と話した。
ただ、電子決済に不慣れだったり、車を持たない住民が現金を引き出すのに苦労を強いられ、喜田さんは「せっかく移動販売車が来てもお金が無いと使えない。何か手はないか」と腕組みした。
能登町の鵜川郵便局はATMの運用を再開した。
しかし、窓口の閉鎖は続き、ATM操作が苦手な住民が困っているという。
鵜川地区区長会長の一谷正孝さん(75)は「(窓口がある)宇出津地区の郵便局や金融機関は遠い。できるだけ早く再開してほしい」と語った。
参照元:Yahoo!ニュース