自民農林族「小泉劇場」警戒 米価抑制、農家離反に懸念

お米を撮影した画像

小泉進次郎農林水産相が打ち出す急進的なコメ価格引き下げ策を、自民党の農林族議員が警戒している。

夏の参院選で「票田」と位置付ける農家らの離反を招きかねないと懸念するためだ。

ただ「小泉劇場」で抵抗勢力と見られるのは避けたいのも本音。米価抑制の必要は認めつつ、生産者への支援拡充を訴え、支持をつなぎ留めたい考えだ。

「不足感の払拭が極めて大事だ。まず(価格高騰を)一定程度落ち着かせ、適正価格の議論の入り口になればと思う」。

小泉氏は29日の参院農水委員会でこう述べ、随意契約した備蓄米による価格引き下げ方針を強調した。

同日始まったアイリスオーヤマなどによる予約販売は直ちに完売となった。

「生産者重視」が目立った従来の農政の大転換に、農家の保護を重んじる農林族は焦りをにじませる。

28日の衆院農水委では「5キロ2000円」目標を掲げる小泉氏に対し、北海道を地盤とする鈴木貴子氏が「目先の対応はあっても、中長期的な食料安全保障の信念がない」と真っ向から批判し、「反省」を促した。

「農業は国の基(もとい)。食と国土を守っていることを忘れてはいけない」。

農林族重鎮の森山裕幹事長は26日の記者会見で、足元の流通安定が第一としつつ、くぎを刺した。

党三役経験者も「農業票が野党に行ってしまう」と憂慮する。

小泉氏の積極的な発信がメディアに連日取り上げられ、消費者に膨らむ不満を和らげているのは事実。

28日には国民民主党の玉木雄一郎代表が備蓄米を「動物の餌」に例えると、SNS上などで批判を浴びる「敵失」もあった。

野党が物価高対策で攻勢を続ける中、自民内では「落城寸前の『石破城』に現れた『小泉丸』だ」(中堅)などと、参院選や6月の東京都議選での浮揚効果を期待する向きが多い。

ベテラン議員は「当面の対応は間違っていない」と認めざるを得なかった。

29日の参院農水委では自民の山下雄平氏(佐賀選挙区)が食料自給率アップに向けた生産者支援策の必要を主張。

「新たな財源を取りに行くのか」と尋ねると、小泉氏も「全くその通りだ」と応じた。

自民幹部は「今はショック療法が必要だが、生産者にもバランスの取れた価格や支援策の道筋を党で検討する」と語った。

参照元:Yahoo!ニュース