トランプ氏に新たな提案、レアアースと半導体で経済安保協力 関税交渉の前進へ調整

日本とアメリカの国旗を撮影した画像

政府は米国に対し、レアアース(希土類)などの重要鉱物や半導体のサプライチェーン(供給網)の強化に向けた協力策を提案する方向で調整に入った。

石破首相は29日夜、トランプ大統領と電話で約25分間、会談した。

こうした考えをトランプ氏に伝えたとみられる。

対中国を念頭に経済安全保障面での連携を深め、日米の関税交渉を前進させる狙いがある。

複数の政府関係者が明らかにした。

首相は会談後、日本側から会談を呼びかけたとし、「広範な分野で日米の協力を一層、前進させるような意見交換を行った。互いの考えへの理解を深めることになった」と記者団に語った。

日本政府はこれまでの日米の閣僚級協議で、対日貿易赤字の縮小に向け、農産物の輸入拡大や米国からの自動車輸出を巡る「非関税障壁」の見直しなどを提示してきた。

そうした中、前回の23日の日米首脳電話会談では、トランプ氏がレアアースなどに言及し、経済安保分野での協力を要請した。

レアアースの世界生産量の大半を占める中国は4月、米国の「相互関税」の対抗措置として米国に対する7種類のレアアースの輸出を規制した。

レアアースは電気自動車(EV)などハイテク製品の生産に欠かせず、米側には危機感があった。

日本側は有力な交渉カードになるとみて、レアアースなどの重要鉱物、半導体、造船分野を柱に追加の協力策を示す姿勢に傾いた。

具体化に向け今後、閣僚間で協議を進める見通しだ。

重要鉱物を巡っては、加工・製錬に関し日本が技術的に支援することを検討している。

技術力を持ち人件費も安い第三国での製錬に向けて協力を行う案もある。

トランプ氏は半導体製造の米国回帰を求めており、政府は半導体工作機械を巡る協力などを検討している。

米国の半導体の製造能力が高まり日本への輸出が増えれば、対日貿易赤字の縮小にもつながる可能性がある。

造船分野では、中国が新造船の建造量で7割、修繕で9割のシェア(占有率)を握っている。

トランプ氏は米造船業の再生を目指しており、日本側は日米関税協議で次世代船の共同建造などの計画を提案している。

参照元:Yahoo!ニュース