難病患者、初診から病名判明まで平均3.4年 「診断ラグ」負担重く

難病を抱えている患者をイメージした画像

症例数が少なく治療法が確立されていない難病は、患者に症状が表れてから病名が判明するまで平均3.4年かかっていることが、製薬会社などによる患者のレセプト(診療報酬明細書)分析で明らかになった。

その間の患者の負担は重く、専門家は「診断ラグ」の早期是正を訴えている。

アレクシオンファーマ(東京)などが過去20年分のデータから、潰瘍性大腸炎やパーキンソン病など20疾患の患者約8000人分の診断履歴をたどった。

患者の44%は初診から1年未満で確定診断が出ていたが、35%の人は5年以上かかり、9年以上を要した人も13%いた。

平均は41.3カ月(3.4年)。

年度ごとの集計では、2014年度の32.0カ月から23年度は45.4カ月へと徐々に長期化している。

診断ラグは患者団体のアンケートなどで指摘されてきたが、レセプトを使った詳細な分析は初めてとみられる。

難病の中では国内で比較的患者数が多い疾患を調査対象としたため、より希少な疾患も含めると期間はさらに広がる可能性がある。

確定診断までに難病患者は平均で69日通院し、176万円の医療費がかかっていた。

一般の患者の平均と比べると日数は2.2倍、費用は3.4倍に上り、病名が分かるまでのさまざまな検査や治療が重い負担になっている。

その間に約6割が誤診を受けた経験があるとの調査報告もある。

患者が症状を自覚してから診断や治療へ進む過程は「ペイシェントジャーニー(患者の旅)」とも呼ばれる。

希少疾患に詳しい山野嘉久・聖マリアンナ医科大教授(脳神経内科)は「治療薬が登場した難病も増えており、診断までの時間を短縮できれば患者の利益は大きい。是正には、専門医につなぐ診療ネットワークの構築や、画像診断などでの人工知能(AI)活用、新生児の先天性疾患を調べる検査の対象拡大などが有効だろう」と話す。

参照元:Yahoo!ニュース